デル・テクノロジーズは9月6日、「中堅企業DXアクセラレーションプログラム 第3回 中間報告会」を開催した。同社は2020年2月からデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の一環として同プログラムを実施している。
デル・テクノロジーズ 西日本副支社長 兼 広域営業統括本部 フィールドセールス本部 西日本営業部長 木村佳博氏
今回は2022年最後の中間報告会となり、中には本格実装段階に進んだ参加企業もあった。ここでは、DXプロジェクトを推進している企業の中で3社のプレゼンテーションを紹介する。同社 西日本副支社長 兼 広域営業統括本部 フィールドセールス本部 西日本営業部長 木村佳博氏は「重視するのは取り組みが完成した後、その先にある未来」と参加者を鼓舞した。
AIによる文章評価を目指すオンダテクノ
弁理士法人オンダ国際特許事務所の代表者である弁理士の恩田誠氏が経営するオンダテクノ(岐阜県岐阜市、グループ従業員数309人)は「AIを活用した“文章チェック”の実現」に取り組んできた。
Pythonから人工知能(AI)を呼び出し、文章を評価する機能を、顧客の要望から既存の業務システムへ組み込むことを目的としている。前回(2022年6月)までは文章評価精度を検証し、今回は客先での試験運用を開始したが、担当者は顧客から二つの要望を受けたと現状を説明した。
「一つ目はチェック速度の遅さ。原因は業務システムからのPython呼び出しに起因していたため、(同プログラムに共同参加する)NAIST(奈良先端科学技術大学院大学)のアドバイスに従い、(Python用ウェブアプリケーションフレームワーク)『Flask』で改善に取り組んでいる最中。二つ目はチェック精度の向上。こちらは現状の仕組みで対応できないことは分かっていた」
そこでNAISTの協力を得ながら、自然言語処理の事前学習に用いられる機械学習手法「BERT(バート)」を利用し、構文解析器で蓄積した学習データで精度向上を目指す予定だ。
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現在、同社は二つの意味に解釈できる「両義文」の処理で苦慮している。
例えば、「購入したエントリーサーバーは、2つのメモリーとディスクによって構成されている」との一文は、メモリーとディスクのいずれが“2つ”の係先となるのか不明確だ。
そこで文中にある各単語の先頭を独立させて依存関係を解析するDependency Parsing as Head Selectionを使用したところ、「メモリー単独が50%、メモリーとディスクの両者が50%と推定し、メモリーとディスクが100%と推定された。人間が読んでも分かりにくい文章だが、AIは素直に解析するため、両義文のチェックに用いるのは難しい」と担当者は語った。オンダテクノはPythonとAIを扱える人材育成にも取り組んでいる。