オープンソースの黎明期において、知的財産(IP)関連での主な敵は、プロプライエタリーなソフトウェアを有する企業からの訴訟だった。こうした企業は、オープンソースプロジェクトが強大な競合となる前にたたきつぶしてしまいたいと考えていたのだ。その最も有名な事例は、Microsoftの支援を受けたSCO GroupがIBMや関連企業を相手取って起こした一連のLinux訴訟だった。SCOの主張は、Linuxの一部のコードがプロプライエタリーなUNIXのコードを盗用しているというものだったが、Linux陣営の企業はこれらの訴訟に勝利し、オープンソースソフトウェア界は平和な時代を迎えることになった。しかしそれはもはや過去の話だ。今日では、パテントトロールたちによってオープンソースソフトウェア開発者が脅かされる事例が増えてきている。
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オープンソースはかつてないほどの成功を収めている。Microsoftも過去の過ちを認め、現在ではLinuxとオープンソースの双方を支持している。これ自体は喜ばしいニュースだ。その一方、オープンソースのそうした成功故に、特許主張主体(Patent Assertion Entity:PAE)としても知られるパテントトロールたちがオープンソースの受益者をこれまでにない勢いで攻撃するようになっているという悪いニュースもある。Unified Patentsが最近、「Defending Open Source: An 2022 Litigation Update」(オープンソースの保護:2022年の訴訟に関する状況報告)で報告したところによると、オープンソースプロジェクトに対するパテントトロールたちの攻撃がこのままの勢いで続けば、2022年は前年比100%増になる見込みだという。
正確に述べると、オープンソースプロジェクトに対するパテントトロールたちの攻撃は、2022年半ばの6月6日時点で2021年の総数と等しくなっている。これら攻撃の上位10位には、悪名高いトロールたちもいくつか含まれている。
パテントトロールはそれだけで一大ビジネスなのだ。トロールたちは訴訟を起こすにあたり、意図を明確にしたり、被告に事前に通告する必要がない。この種の訴訟を起こす費用は小さく、得られる利益は大きい。