Microsoftが「Microsoft Azure」を宇宙や人工衛星と接続したクラウド市場における覇者とするためのイニシアチブ「Azure Space」を発表したのは2年前のことだ。そして同社は米国時間9月14日、「World Satellite Business Week」(世界衛星ビジネス週間)にタイミングを合わせ、衛星との接続に向けた同社ポートフォリオの拡充について説明した。
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同社によると、新たなサービス「Azure Orbital Cloud Access」が米国政府の顧客を皮切りにプライベートプレビュー段階に入るという。このサービスは、ネットワーク接続の選択肢が乏しい状況に置かれている企業のITプロフェッショナルを念頭に置いたものとなっている。また、一時たりとも業務の停止が許されていないファーストレスポンダーのようなユーザーを特に対象としている。
Azure Orbital Cloud Accessの目的は、光ファイバーネットワークや携帯電話ネットワーク、衛星ネットワークのトラフィックに対する優先順位付けをインテリジェントなかたちで実現することだ。優先順位付けされたネットワークトラフィックは、SpaceXの「Starlink」とAzureのエッジデバイスを組み合わせて実現され、顧客はStarlinkに接続できる場所であれば、どこからでもMicrosoftのクラウドサービスにアクセスできるようになる。SpaceXは、Azure Spaceというイニシアチブが開始された当初からMicrosoftの重要パートナーのうちの1社となってきている。
Microsoftは2021年に「Azure Orbital」がプレビュー段階に達したと発表した。これにより顧客は、Microsoftやパートナー企業が世界各地に保有する地上局から、Azureへの接続のためのバックホールコストなしに衛星との通信やその制御が可能になる。Azure Orbitalという名称で最初に発表されたこのサービスは、「Azure Orbital Ground Station」に改称され、Azure Orbitalという名称は関連する複数のサービス(最新のサービスはAzure Orbital Cloud Access)を網羅するブランド名となる見込みだ。
Microsoftは14日、同社初の「サービスとしての地上局」製品であるAzure Orbital Ground Stationの一般提供を開始したと発表した。これにより衛星のデータが直接Azureにもたらされるようになる。
さらに同社は、Azure Orbitalサービス群を通じて5G通信と衛星通信を統合し、企業のクラウド運用で衛星ベースの通信を容易に導入できるようにするべく、パートナー企業と協力している。同社の最終的な目標は、衛星ベンダーを支援し、そのアナログシステムを仮想化することだ。
Azure Spaceは宇宙産業に携わる企業のみを対象としたサービスではない。このサービスは、農業やエネルギー、通信、政府といった業界の公共団体や民間企業の顧客に向けて訴えかけるものとなっている。また、リモートアクセスの必要性や、帯域幅に対する要求を有しているあらゆる顧客に向けたものともなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。