ネットワンシステムズは10月5日、2022~2024年度の新中期経営計画と事業戦略を説明する発表会を開催した。同社は2019~2021年度の前中期経営計画で明らかになった課題を踏まえつつ、長年培ったネットワークシステムインテグレーター(SIer)として尽力する。
代表取締役 社長執行役員 竹下隆史氏は「経験値がそのまま当社のビジネスドライバーとなる。ネットワークの重要性がさらに増大する市場環境に、当社の技術力、目利き力、インテグレーション力の3つを活用し、ネットワークの観点から社会課題の解決に貢献する」とも述べた。
(左から)ネットワンシステムズ 代表取締役 社長執行役員 竹下隆史氏、同社 常務執行役員 最高技術責任者(CTO) 篠浦文彦氏、同社 常務執行役員 辻晃治氏
重要なのは「ガバナンスの強化と企業文化改革」
1988年に設立したネットワンシステムズは、当初からネットワーク周りを得手としてきた。当初は企業内ネットワークにとどまっていた顧客要望も、年を重ねるごとにインターネット、クラウド、セキュリティ、デジタルと幅を広げている。
だが、重要なのは「ガバナンスの強化と企業文化改革」だと竹下氏は強調する。同社は2021年3月に従業員による億円単位の私的流用が発覚し、内部統制の見直しを迫られていた。
そこで同社は「取締役会をモニタリング型に変えるべく、今年度の株主総会で社外取締役6人、業務執行社内取締役3人、そして社外取締役を取締役会議長とする形で、監査等委員会設置会社の設立を考えている。そしてガバナンス企業文化諮問委員会を設置し、ガバナンスの強化、企業文化改革、再発防止策の継続的な履行、内部統制システムの強化を当社の重要施策に位置づける」(竹下氏)
2023年に新しい職場環境「netone valley」をオープンすることも明らかにした。「netone valleyは単なるオフィスではない。これからのワークプレイスは仕事だけでなく、コミュニケーションを作る場。従業員やパートナー企業、顧客もこの環境を活用して、新たな価値創造を生み出すきっかけにしてほしい」(竹下氏)
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「あらゆる場面でデジタル化が加速し、今まで以上にインフラの強化が必要不可欠。これはわれわれにとっての強い追い風だ。今後はネットワークやクラウドインフラに加えて、社会課題も解決できる、あるいは社会課題解決に貢献するソリューションやサービスを開発して、事業を成長させたい」と語るのは、ネットワンシステムズ 常務執行役員の篠浦文彦氏。
中期経営計画を策定する議論中に、社内からも社会課題を解決する企業にしたいとの声が多く寄せられていたという。同社は中期経営計画の中で(1)デジタルガバメント、(2)Society 5.0を実現する社会基盤(3)スマートマニュファクチャリング――の3つが事業成長のポイントだと明かした。
(1)の「デジタルガバメント」は自治体に対するガバメントクラウドの構築。(2)の「Society 5.0を実現する社会基盤」は通信事業者や鉄道電力など社会インフラ企業、あるいは医療機関が対象となる。篠浦氏は「顧客の新ビジネス創出支援にも積極的に関与し、新しい5.0の波を顧客とともに捉えていきたい」と意気込みを語る。
(3)の「スマートマニュファクチャリング」では、工場やサプライチェーン全体の高度なデジタル化を支援する。「これまでもわれわれは工場の生産効率向上を目的とした、ネットワーク化ビジネスで成果を上げてきた。これからは工場単体からサプライチェーン全体に対象を広げていく」(篠浦氏)
すでに神奈川県庁が同社の顧客としてセキュリティクラウドを構築している。「セキュリティ対策を都道府県に集約し、市町村は独自に整備せずにサービスが利用できる」(篠浦氏)という。
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