日立製作所、動く市役所の実現を支える「汎用デジタル窓口」を開発

寺島菜央 (編集部)

2022-10-17 16:49

 日立製作所は、自治体や民間企業が提供する相談窓口・各種手続きサービスをワンストップで利用可能にする「汎用デジタル窓口」を開発し、10月17日から販売する。また、茨城県笠間市において、同サービス搭載の車両を用いた移動型窓口サービスの実証を行う。

汎用デジタル窓口のサービス概要
汎用デジタル窓口のサービス概要

 汎用デジタル窓口は、地域の出張所や公民館、銀行や駅、移動車両など、生活圏の身近な場所に利用ブースを設置し、遠隔地からでもオンラインで自治体や銀行、交通事業者、医療機関、旅行代理店などの窓口サービスを横断的に利用できる各種機能を提供する。大型のディスプレイとシンプルな操作方法により、デジタルに不慣れなユーザーも直感的な操作で利用できる。さらに、ビデオ通話による会話や高精細な書面カメラで利用者の書類をリアルタイムに共有できるため、オンラインでも対面のように各種相談や手続きの支援ができるという。

 これにより、役所から離れた地域の住民や移動制約者の負担低減につながる他、事業者にとっては自前で拠点を持つ必要がなく、利用者とのチャネル維持やサービス提供が可能になるため、窓口・店舗数の適正化や固定費削減に寄与するという。

利用ブースのイメージ
利用ブースのイメージ

 他にも日立は、同サービスの特徴として、窓口業務の負担軽減とペーパーレス化を支援できると説明。オンライン上での本人確認に、公的個人認証に基づく新たなサービスの立ち上げを支援する「日立公的個人認証利用サービス」を活用し、マイナンバーカードを用いて電子証明書の有効性を確認する。これにより、自治体の行政手続きや窓口対応業務の効率化、電子申請の利用向上、ペーパーレス化を促進する各種機能を提供する。

本人確認に必要な氏名・住所・性別・生年月日を読み取り、自治体職員側の画面に表示する
本人確認に必要な氏名・住所・性別・生年月日を読み取り、自治体職員側の画面に表示する

 同サービスは、総務省が公表する自治体の情報システムに対するセキュリティモデル「自治体情報システム強靭性向上モデル」に配慮した「地域IoT連携クラウドサービス」を活用している。地域IoT連携クラウドサービスは、自治体の総合行政ネットワーク(LGWAN)接続系から各種クラウドサービスの利用や、センサーやドローンなどの制御技術(OT)との連携を可能にするサービス。これを用いて自治体内のLGWAN系業務システムと同サービスを接続することで、職員は安全な環境下で住民に関する情報の登録や検索が可能になるとしている。

 汎用デジタル窓口の販売開始と合わせて実施する移動型窓口サービスの実証は、笠間市において10月17日から21日まで行われる。具体的には、市役所への来訪が難しい住民を想定し、自宅や福祉施設などの市内各所へ出向き、介護・補助金・マイナンバーカードに関する各種申請手続きの支援や相談を行う。同実証では住民や自治体職員双方の利便性を検証し、移動窓口サービスの効果的な活用方法を検討していく予定だ。

 なお、汎用デジタル窓口の提供開始時期は11月28日としている。

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