Oracleは米国時間10月18~20日、年次カンファレンス「Oracle CloudWorld 2022」を開催している。コロナ禍で2019年以来3年ぶりのリアル開催となる今回は、イベント名をOpenWorldからCloudWorld、開催地を米サンフランシスコからラスベガスへ変更した。同社の世界中の顧客やパートナーなど約1万2000人が参加し、約1200のセッションが開催されている。
会場の入り口。Oracleは鮮やかな赤のイメージが強いが、今回は青を基調としている
18日の基調講演には、最高経営責任者(CEO)のSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏が登壇。同氏は久々のリアル開催にめいっぱい喜びを表現した上で、NVIDIAとの長年の協業関係を拡大して数年間にわたるパートナーシップを締結したと発表した。今回のパートナーシップにより、GPUからシステム、ソフトウェアまで、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングにおける全てのスタックを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で利用可能にすることを目指している。
Oracle CEOのSafra Catz氏(写真提供:Oracle)
Oracleは、OCIに「A100」や今後発売予定の「H100」をはじめとするNVIDIA GPUを数万個追加する予定。OCIのAIクラウド基盤と組み合わせることで、企業はAIを活用してトレーニングやディープラーニングの推論をスムーズかつ大規模に行えるという。
NVIDIAの創業者 兼 CEOのJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏は、協業の拡大について、「われわれの業界はとにかくノウハウを獲得し、投資やエネルギー消費量を抑えながら、顧客ができることを増やすことが求められる」とした上で、「これを実現するために、(1)データを中心としたソフトの開発、(2)AIによるデータ処理や機械学習の訓練、(3)エネルギー効率が良い大規模なインフラ、(4)充実したエコシステムが必要となる」と述べた。3つ目の大規模なインフラについては「だからこそ、Oracleとのパートナーシップが必要となる」と語った。
(奥から)NVIDIAの創業者 兼 CEOのJensen HuangとOracle CEOのSafra Catz氏
OracleとNVIDIAは、臨床ソリューションや患者管理システムなど、Oracle Cernerのヘルスケア向け新サービスでも協業している。Safra氏は「AIの活用によるショッピングの効率化や自動車の走行ルート改善なども大事だが、必須エリアの一つは人命の救済」と述べた。
「Oracleとのパートナーシップによって、ヘルスケアの分野は前進するだろう。ライフサイエンスとバイオロジー、コンピューターサイエンスが一緒になって、サイエンス単一の業界からサイエンスとエンジニアの業界に変わっていくはずだ」とHuang氏は期待を見せた。
(取材協力:日本オラクル)