松岡功の「今週の明言」

マイクロソフトによる「Microsoft Cloud」の説明が新鮮に聞こえたのはなぜか

松岡功

2022-10-21 10:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフト 執行役常務 クラウド&ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏と、BeeX 代表取締役社長の広木太氏の発言を紹介する。

「Microsoft Cloudは主に6つのソリューションからなる」
(日本マイクロソフト 執行役常務 クラウド&ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏)

日本マイクロソフト 執行役常務 クラウド&ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏
日本マイクロソフト 執行役常務 クラウド&ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏

 日本マイクロソフトは先頃、米Microsoftのグローバルイベント「Microsoft Ignite」に合わせて日本向けに「Microsoft Ignite Spotlight Japan」を開催した。岡嵜氏の冒頭の発言はそのキーノートで、同社のクラウドサービス「Microsoft Cloud」について説明したものである。

 どこが「明言」なのかというと、Microsoft Cloudの中身が変わったわけではないが、「6つのソリューション」に整理して図1のように描いてイベントで見せたのは、筆者の記憶では今回が初めてのことだ。同社はこれまで、Microsoft Cloudの全体像を説明する際には図2を用いてきた。ちなみに図2は、同社が昨年(2021年)10月に開いたイベントで表示していたものである。どう変わったかは見比べれば一目瞭然。端的に言うと、これまで(図2)は全体の構造とサービス名を記したものだったが、今回(図1)はソリューションの内容で6つに分けて見せた格好だ。

 岡嵜氏は図1に示した6つのソリューションについて、それぞれ次のように説明した。

図1.今回のイベントで示したMicrosoft Cloudの全体像(出典:日本マイクロソフト)
図1.今回のイベントで示したMicrosoft Cloudの全体像(出典:日本マイクロソフト)
図2.これまで示していたMicrosoft Cloudの全体像(出典:日本マイクロソフト)
図2.これまで示していたMicrosoft Cloudの全体像(出典:日本マイクロソフト)

 「Infrastructure」は、クラウドからエッジまでの包括的なソリューションを提供しており、インフラに必要なケイパビリティーをスピーディーに整備していくことができる。

 「Digital and app innovation」は、クラウドネイティブなアプリケーションをスピーディーに構築することが可能だ。

 「Data and AI」は、データベースやデータ分析、データガバナンスのために包括的に統合されたプラットフォームを提供しており、データ価値の最大化はもちろん、蓄積されたデータとAIを組み合わせて、さらにイノベーションを加速させることができる。

 「Modern work」は、生産性やコラボレーション、ビジネスプロセスといった日々の業務に関わる製品を統合して提供しており、生産性を上げながらITコストを低減することが可能だ。

 「Business applications」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、IT部門だけでなく現場の業務部門でもアプリケーションを容易に作成できるようにしたいというニーズに対応。また、ビジネスアプリケーション分野でも生産性向上とともに、よりハイレベルなユーザーエクスペリエンスを提供できるようにしていく。

 「Security」は、マルチクラウドからエッジに至るまで、「ゼロトラスト」を基軸として包括的なセキュリティソリューションを提供していく。

 なお、それぞれのソリューションに適用するサービスについては、同社のMicrosoft Cloud紹介サイト参照していただきたい。

 さて、Microsoft Cloudの全体像を示す内容が図2から図1へ変わったことで筆者が感じたのは、「プロダクト視点から顧客視点への転換」だ。果たして、Microsoftの中で何かが変わったのか。日本マイクロソフトでは、アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)の幹部だった岡嵜氏が8月1日に入社し、今回のイベントで現職として初めて公の場に立った。衝撃的な移籍だ。それもあって、今回のMicrosoft Cloudの説明は新鮮に聞こえた。同氏がこれからどんな手腕を発揮するか。注視していきたい。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]