アクセンチュアは、製造企業がデジタルを活用して製品の設計、開発、顧客への供給にかかる時間を短縮し、いかに「市場投入までのスピード」を上げているかを分析し、その結果を発表した。結果を基に企業を3つのカテゴリーに分類している。
これによると、市場投入までの時間が短く、効率の良い企業と分類された「スピードスター」は、市場投入までの全てのプロセスにおいて、先端デジタル技術を積極的に活用し、大幅に時間とコストを削減していることが分かった。
また、市場投入に時間がかかり、効率化の余地がある企業に分類される「スターター」と比較して、機械学習を活用する「スピードスター」は、7倍の時間短縮と12倍のコスト削減を達成していた。さらに、無人搬送車(AGV)などさまざまな方法を組み合わせて効率化を図る「スピードスター」は、「スターター」に比べて4倍の時間短縮と約30倍のコスト削減を実現していることが分かった。
調査は日米中英、欧州の13カ国で、製造企業(産業用・電気機器、重機、自動車用品、耐久消費財)を対象に実施した。回答者は、研究開発・エンジニアリング、製造、サプライチェーン・ロジスティクス、IT・デジタル戦略部門の責任者1200人。2021年12月~2022年1月にオンラインで実施している。
分析結果で分類した3つのカテゴリーにおいて、「スピードスター」に属する調査対象企業はグローバル全体で14%、日本で6.6%だった。「スターター」はグローバル全体で63%、日本で76%だった。さらに2つカテゴリーの中間に入る企業「アクセラレーター」はグローバル全体で23%、日本で18%だった。
また調査からは、市場投入までのプロセスを以下に分類している。
- 「アイデアから製品」:アイデア創出、コンセプト立案と試作製作、テスト、デザイン検証、要件開発など、生産開始への準備に向けたプロセス
- 「計画から生産」:生産計画、生産スケジュール、生産実行(製造業務)など具体的な生産活動プロセス
- 「需要予測から供給」:需要と販売計画、受注とスケジュール管理、最終的な配送、顧客企業への設置・試運転など生産後の市場投入におけるプロセス
同社は、この3つの各段階で最も効率的な企業を特定し、機械学習をはじめとする人工知能(AI)、クラウド、デジタルツイン、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などの先進デジタルを活用することで、いかに時間とコストを削減しているかを分析した。
その他の結果では、「スピードスター」は「スターター」と「アクセラレーター」を財務業績の面で上回り、例えば、2016~2021年の5年間で「スピードスター」は「アクセラレーター」よりも4%、「スターター」よりも18%高い年間成長率を達成した。また、「スピードスター」の平均営業利益率は、「スターター」や「アクセラレーター」に比べ高いことも明らかになった。