中外製薬と日本IBMは11月7日、教育系・計画系・遠隔支援の3システムからなるデジタル基盤を中外製薬工業の浮間工場(東京都北区)に構築し、稼働を開始させたと発表した。今後は順次、同社宇都宮工場(宇都宮市)、藤枝工場(静岡県藤枝市)における展開を目指すという。
デジタル基盤は、新しい生産オペレーションを支えるものになり、3つのシステム群や既存の社内システムとデータ基盤で連携し、効率的な生産・要員計画および進ちょく管理や現場の遠隔支援に活用するとのこと。生産性や信頼性の向上、働き方変革を目指す「人に着目したデジタル基盤」とし、システム開発に合せて業務プロセスも変更。デジタル化による新オペレーションで、医薬品製造に関する規制への対応と生産計画や業務アサインの全体最適化、可視化を図る。さらには製造ラインを越えた組織横断的な働き方も実現し、個々人の経験やスキルの向上など人材育成にも活用していく。
デジタル基盤による新しい業務プロセスのイメージ(中外製薬より)
中外製薬 執行役員 生産技術本部長で中外製薬工業の社長を兼務する田熊晋也氏によれば、デジタル基盤によるプラントが生産機能のソフト面である業務を変革するものであり、「当社が目指すトップイノベーターに相応しい生産機能を実現するために不可欠。デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じ、生産性向上に加え、作業の信頼性向上や新しい働き方の実現も図り、生産機能の価値創造型組織への転換を一層推進していく」と説明している。
中外製薬では、宇都宮工場におけるデジタル基盤の稼働を2023年、藤枝工場では2024年中を計画。3つの工場での展開を踏まえ、デジタル基盤の高度化やさらなる追加施策にも取り組むという。