クラウドベースの「ビジネスプランニング」ソフトウェアを提供するAnaplanジャパンは11月10日から2日間、オンラインイベント「Anaplan Connect」を開催した。同社サービスのユーザー企業やパートナー企業を対象にした情報提供を目的としている。
初日の基調講演「計画・予測・意思決定とDX」には同社 社長執行役員 中田淳氏が登壇。基調講演に続く「CDO/CIOリレートーク DX戦略とAnaplan」には、日揮ホールディングス(HD) 専務執行役員 最高人事責任者(CHRO) 最高デジタル責任者(CDO) 花田琢也氏と富士通 執行役員 エグゼクティブバイスプレジデント(EVP) 最高情報責任者(CIO) 最高デジタル変革責任者(CDXO)補佐 福田譲氏が登壇した。
自動的に洞察する機能を開発中
Anaplanのグローバルシェアを見るとFortune 500の50%、2000社が導入し、世界56カ国で利用されている。ただ、Anaplanジャパンの中田氏は「残念ながら、日本でコネクテッドプランニング(組織横断的計画業務)が完全な市民権を得たとは考えていない。発展途上であると実感している」と国内の市場状況を説明した。
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2016年に日本上陸したAnaplanは、すでに多くの日本企業が利用している。
パナソニック ホームズは貸借対照表(BS)やキャッシュフロー計算書(CF)を可視化し、資金繰りをAnaplanで一気通貫することで、事業計画に関する作業時間を年間2000時間削減したという。
旭化成の樹脂製造部門では、製品規模や顧客単位の収益状況把握に約6カ月を要していた。ここにAnaplanを導入すると必要な期間は約1カ月に短縮。事実上の月次報告を次の施策判断に利用しているとした。
みずほ銀行は8週間を要していた海外拠点の経費予算や実績管理にAnaplanを使用し、作業時間を6週間に短縮したという。
「グローバルの例だが、Anaplan導入前に72%だった経費率が3年間で55%まで削減できた」(中田氏)
Anaplanは、全社横断型の計画業務を行うコネクテッドプランニングが主たる機能だが、今後は自動的な洞察を得る「Autonomous Enterprise(自律型プランニング)」が先に控えている。
中田氏は「例えば、計画を実行し、AI(人工知能)が複数日を比較してギャップを見つけてくる。そこにプランA、プランB、プランCと提案し、人間は意思決定を下すだけ。また、ギャップを再学習させて計画の精度も高められる。これが我々の将来像だ」と述べ、鋭意開発中であることを明かした。
日揮HDと富士通が語るAnaplanのメリット
Anaplanのユーザー企業である日揮HDは、社内に「Anaplanを使い倒す」とのメッセージを発した。その理由について、日揮HDの花田氏は「パッケージに比べると柔軟性が高く、スクラッチに比べてもアジリティスピードがあり、Microsoft Excelの代替としてもUI(ユーザーインターフェース)が優れている。今後内製化を推進する上で(Anaplanは)大きな武器になる」とメリットを説明した。
富士通の福田氏は、Anaplanを幅広く活用していることを解説した。
「例えば、新たに立ち上げたコンサルティング企業の業務計画は(Anaplanの)基本的なプランで動いている。グローバルで適用したジョブ型ポスティングの人事業務プロセスにも使用した。まだ、統合は終わっておらず、グループ全体で約400万社。加えて異なるデータを保持しているので事前調整は必要だが、グローバルの人員計画や人件費のシミュレーション、(従業員の)スキル情報可視化をAnaplanが下支えしている」
さらに福田氏は「次期中期経営計画を作成中だが、多次元の数字を集計しなければならない。(Anaplanに対する)知見もあって、わずか3週間程度でモデルが組み上がり、現在はシミュレーションを実行している。(Anaplanが持つ)柔軟性やスピード、ユーザー体験、クラウド。このあたりを使わない手はない」と評した。
紹介した内容を含めたAnaplan Connectの各セッションは、11月15日から12月31日までアーカイブ配信される。