NECは11月28日、川崎市中原区の「NEC玉川事業場」内にグローバルでのイノベーション創造拠点「NECイノベーション新棟(仮称)」(以下、新棟)を建設すると発表した。新棟は地上12階、延床面積約5万平方メートルにおよび、2023年3月に着工し、2025年6月の完成を予定している。総工費は約330億円。
新棟の外観イメージ
新棟は、同社で最先端技術の開発や新事業開発などイノベーション創出に関わる組織に所属する従業員約4700人が利用する予定。NECのさまざまなアセット(資産)を活用しながら、世界中のスタートアップ企業やパートナーと関わり、オープンイノベーションで社会価値を創造する「知の創造の場」を目指すとしている。
新棟では、2階の開放的なメインエントランスで来訪者を迎え、5~12階は中心部を吹き抜け構造にして内階段を設けることで、利用者間の交流やコミュニケーションを促進させる。建物内部は執務フロアだけでなく、評価実験・実証を行うフロア、パートナーと共同研究/開発を行うフロア、イベントやネットワーキングを実施するフロアなどを設ける予定。また、働き方改革のフラッグシップビルとして、建物全体にチームメンバーとの協業の場「Communication Hub」と社内外のメンバーが集う場「Innovation Hub」を設け、顔認証などのデジタル技術も搭載する。
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとしては、屋上の太陽光発電や地中熱を利用する仕組みを導入し、吹き抜けを用いた効率的な自然換気や天窓からの太陽光による自然採光を取り入れ、省エネルギー化を促進する。また、人感/照度センサーによる照明制御、画像センサーによる人流/放射温度検知制御、リアルタイムでの人員検知による換気制御など、各種センサーによる最適な制御も予定している。災害対策では、2.6メートルの浸水高でもビルの機能を損なわない機械設備配置や免震構造を採用する。
NECは「2025中期経営計画」の重要施策として、組織と個人が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整備し、従業員一人一人が「Code of Values」(行動基準)を実践して働きがいを高めるため、働き方改革「Smart Work 2.0」を推進している。今後はSmart Work 2.0を発展させ、さまざまなステークホルダーとのイノベーションを通して社会価値を創造することで、未来への共感を生み出し、2025中期経営計画の先に描いている社会像「NEC 2030VISION」を実現するとしている。