パテントトロールは、あらゆる規模の企業にとって頭痛の種となっている。このため、Amazonがオープンソース特許ネットワーク「Open Invention Network(OIN)」に加盟したという発表は、驚くには値しないだろう。OINは特許権の不行使をうたう世界最大級のコンソーシアムだ。
提供: KAZUHIRO NOGI/AFP via Getty Images
OINは長きにわたり、Linuxとその関連ソフトウェアを、競合企業による訴訟から保護してきている。また、最近増加しているパテントトロールによる訴訟から加盟企業を守る防波堤にもなっている。
今回の動きは、Amazonにとって当然と言えるだろう。Amazonの小売事業やクラウド事業はLinuxとオープンソースソフトウェアに依存している。また、同社は特許侵害に対して厳格なポリシーを有しており、この種の行動に関わったユーザーの出品を停止したり、アカウントを削除したりすることもある。とはいえ、他の大手企業と同様にAmazonも特許侵害訴訟を起こされている。OINへの加盟は事業運営上、理にかなう選択だ。
OINの最高経営責任者(CEO)Keith Bergelt氏は「Linuxをはじめとするオープンソースプロジェクトは、小売りやEコマース、クラウドコンピューティング、エンターテインメントといった幅広い業界で生み出されているイノベーションの基盤となっている。AmazonがLinuxのコア技術と、それを取り巻くオープンソース技術に対する特許権の不行使合意を表明したことを歓迎する」と述べた。
Amazonのオープンソースプログラムオフィスの責任者であるNithya Ruff氏は、次のように述べた。
Linuxとオープンソースは、当社が抱えている多くの顧客にとって必要不可欠なものとなっており、Amazon全体におけるイノベーションの源泉ともなっている。われわれは、多彩なオープンソースプロジェクトや各種の財団、パートナーらを支援することに誇りを感じるとともに、オープンソース全体の長期的な成功とサステナビリティーに尽力していく。OINへの加盟により、引き続きオープンソースコミュニティーを強化し、Linuxのようなテクノロジーが将来においても繁栄し、誰からもアクセスし続けられるよう保証するために力を貸していきたい。
OINのコミュニティーは、Linuxシステムまわりの特許をロイヤリティーフリーで互いにクロスライセンスすることで、Linuxのコア技術と、それを取り巻くオープンソース技術に対する特許権の不行使を実践している。またOINの所有する特許は、自社の特許権をLinuxシステムに対して主張しないと表明した組織に対してロイヤリティーフリーでライセンスされている。OINのオープン特許をサポートすることに合意すれば、どのような企業でもOINに加盟できる。必要なのは、オンラインで加盟申請フォームを提出し、OINとのライセンスに合意するだけだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。