タレスDISジャパンは12月8日、世界11カ国の消費者を対象とした「個人データ保護に関する信頼度調査」の結果を発表。同日開催の報道機関向け説明会では、クラウドプロテクション&ライセンシング データプロテクション事業本部 本部長の藤岡健氏が調査結果を解説した。
「2022年 タレス 消費者デジタル信頼指数」は、同社の委託を受けて、Opiniumが全世界2万1000人超の消費者を対象に実施した調査に基づくものである。オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、香港、日本(2000人が参加)、メキシコ、シンガポール、アラブ首長国連邦、英国、米国が対象となった。
藤岡氏はまず、「業界全体として消費者の信頼度は低下傾向にある」という分析結果を明らかにした。業界別に見ると、世界で信頼度が高いのは「銀行および金融」「医療サービス」「消費者向けテクノロジー」の順になる。日本だけで見ると順位は同じものの、それぞれのパーセンテージが低く、日本では各業界に対する信頼度がさほど高くはないことが分かる。
タレスDISジャパン クラウドプロテクション&ライセンシング データプロテクション事業本部 本部長 藤岡健氏
逆に信頼度が低い業界は世界が「ソーシャルメディア」「政府」「メディア&エンターテインメント」の順で、日本は「ソーシャルメディア」「飲食店」が同率1位、「メディア&エンターテインメント」「オンラインショップ」が同率2位だったという。
信頼度が高い国・地域では、ブラジル、メキシコ、アラブ首長国連邦、香港で、日本は5位だったという。信頼度が低い国・地域のトップはドイツで、フランス、英国、オーストラリアが同率で2位に並ぶ。
信頼度の高低を左右すると思われるデータ侵害の被害状況については、「既にデータ侵害の被害者となった人の割合」は世界で33%、日本で16%、「データ侵害被害者のうち、生活にマイナスの影響があったとした人の割合」は世界で82%、日本で69%となっている。
さらに、「データ侵害による主なマイナスの影響」について、世界ではトップが「金融情報の不正使用」、次いで「個人識別情報(PII)の不正使用」「消費者の情報に基づいた標的型の詐欺被害」と続くが、日本ではトップが「成りすましアクセス」だったという。
日本では、データ侵害について最も回答が多かったのは、実は「該当なし:データ侵害の結果として何も無し」が最多で、具体的な被害として挙がった中でトップは「成りすましアクセス」だった。
この結果について、藤岡氏は「日本ではデータ侵害経験者の数が少ないが、本当に少ないのか、被害に気付いていないだけなのか分からない。『個人情報の盗難があった』という回答者の中に『実際の被害はなかった』と答えた人が多かったのも特徴で、日本の消費者のデータ侵害に対する意識がそもそも低いのではないかとも疑われる」と指摘した。
最後に、藤岡氏は日本の調査結果のまとめとして「デジタルサービスに対する信頼度が全般的に高い」「データ漏えいのリスクに鈍感?」「情報漏えいをした企業に対するアクションは他国よりも消極的だが、補償を求める意識は高い」「ID盗用による『成りすましアクセス』の被害の割合が他世界平均より高い」「オンライン小売に求めるセキュリティ機能では、『暗号化』の割合が世界平均より高い」の5点を挙げた。