IT企業の年頭所感

戦略と文化の両輪の変革を加速し大きく飛躍ヘ--NEC・森田社長

ZDNET Japan Staff

2023-01-06 13:10

 2023年に向けたIT企業のトップメッセージを紹介する。

NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 森田隆之氏

 私たちNECグループは、Purpose(存在意義)として「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」を掲げています。2022年は、そのPurposeを起点に、「2025中期経営計画」の2年目の年として、目指す方向性の正しさを確信した1年でした。また、多くの挑戦をし、確かな手ごたえ(進展)を感じることができた年でもあったと思います。

 2025中計の「戦略」面では、コアDX(デジタルトランスフォーメーション)事業において、「社内のDX」「お客さまのDX」、そして「社会のDX」を進展させるために、ABeam Consultingとの連携拡大を含むコンサルティング事業の強化、デジタル人材育成の加速を進めています。そして生体認証・人工知能(AI)・セキュリティなどNECの強みを集約させた共通基盤NEC Digital Platformを拡張し、お客さまのDXを支援する信頼される(Trusted)パートナーとしての提案を拡大しています。また、Microsoft、AWS(Amazon Web Services)、SAP、Oracle、ServiceNow、Zoom、RedHatなど多くのグローバルパートナーとの戦略的協業も拡大し、自社内での活用とその経験とノウハウとを合わせたオファリングの提供を一層推進しています。

 グローバル5G事業では、NECがOpen RANにおいて商用化に向けたリーダー企業の一つであるという認知が高まり、複数の通信会社との商用化に向けた取り組みが拡大し、着実なステップを踏んでいます。そして、さらなる事業推進に向けて、グローバル5G関連の製品開発やシステム構築サービス力強化のために、米Blue Danube SystemsやアイルランドのAspire Technologyを買収しました。

 デジタルガバメント/デジタルファイナンス(DG/DF)事業では、過去4年間に買収した3社(NEC Software Solutions UK、KMD、Avaloq)が中心となって、中期的な利益改善を進めているとともに、NECグループ内でのシナジー効果が進み、グローバルにおけるDG/DFビジネスの拡大において好循環を生み出しています。特にDG事業では、日本での行政のデジタル化において、KMDによるデンマークでの経験やノウハウを生かした提案を加速しています。

 ビジネスイノベーション(新規事業)分野では、AI創薬や農業・環境などさまざまな分野において、具体的なエコシステムによる社会価値創造を語れるレベルになってきました。AI創薬事業では、感染症流行対策国際基金「CEPI:Coalition for Epidemic Preparedness Innovations」とともに、将来のパンデミック防止へ向けた次世代ワクチン開発を開始、農業においては食料問題の解決に向けて、AIを活用してトマト農家の効率的な栽培を支援する新会社をカゴメと共同でポルトガルに設立しました。

 2025中計のもう一つの柱である「文化」面においても、社員のエンゲージメントの向上に向け、組織改革や、多様な人材がワクワク働き、活躍できる、誇りを持てる環境づくりを進めています。社員の働きがいを高める「Smart Work 2.0」も、「Workplace」「Work Principles」「Digital Technology」の3本柱で、環境の整備を加速しています。

 さらに、ソートリーダーシップ活動の拡大として、NECグループのシンクタンク国際社会経済研究所(IISE)の改革を進め、「未来の共感」創りを強化しています。

 2023年は、この「戦略」と「文化」の両輪の変革を加速し、2025中計を進化させ、大きく飛躍するための大切な1年となります。そしてさまざまな施策をしっかりと結果につなげることが、私たちを取り巻くステークホルダーからの信頼を勝ち取り、NEC 2030VISIONで提示した未来の世界の共創、ひいてはPurposeの実現に向けて大きく前進することにつながっていきます。

 「安定な企業は不安定で、不安定な企業は安定であると心得よ」。これは、「Computers & Communications(C&C)」を提唱し、NECの第二の創業を主導した小林宏治元会長の「経営の心得10カ条」の1つです。激変する世の中にあって、小林元会長のこの言葉の重要性を痛感します。自ら変わることを恐れずに、確かな実行力と目に見える結果を出してこそ、社会に対して価値を示すことができます。

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