2023年に向けたIT企業のトップメッセージや年頭所感を紹介する。
サイオス 代表取締役社長 喜多伸夫氏
2022年2月に勃発したウクライナ紛争の影響で、世界はエネルギーや穀類価格の高騰に見舞われ、各国でインフレ率が劇的に高まり、非常に不安定な経済状態が続きました。また、欧米各国がインフレ抑制のために利上げに踏み切る中、日本は大規模な金融緩和を維持し、結果として円安が急激に進み、日本国内では輸入品を中心に物価が高騰しています。
2023年も世界は、終わりの見えないウクライナ紛争の影響により、不安定な経済情勢が続くと見られ、日本においても、円安基調の継続、依然として収まらないコロナ感染の影響等で、景気の先行き不透明感は続くと見られています。
IT業界の2022年は、半導体など電子部品の不足や、長引くコロナの影響による物流の滞りで、1年を通じてハードウェアの供給が不安定となり、業界各社の業績に悪影響を及ぼしました。現時点においてもハードウェアの供給不足は続いておりますが、回復の兆しはあり、それに連れて業界の景況感も徐々に好転するのではないかと見られています。
一方、クラウド関連の製品・サービスは、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現のための不可欠な投資として、2022年も市場規模が拡大しました。2023年も市場規模拡大への阻害要因は少なく、引き続き拡大が期待できます。
このような中、2022年のサイオスグループは、これまでの決算短信や四半期報告書等でご説明申し上げております通り、ハードウェアの納期遅延で顧客のプロジェクトに遅延や延期が発生し、ハードウェアの納期に依存するレッドハット関連商品の販売、金融機関向け経営支援システム販売などの事業が大幅な減収減益となりました。また、それらの利益を原資として先行投資を行ってきた新規製品・サービスの開発及びマーケティングの負担が、結果として過大となりました。一方、SaaSをはじめとするクラウド関連の製品・サービスは、市場規模の拡大と相まって順調に伸長しています。
上記のような状況から2023年サイオスグループは、クラウド関連の製品・サービスへの投資を続け成長を加速し、ハードウェアの納期に依存するオンプレのシステムを前提とした旧来型の事業への依存を減らす所存であり、そのための施策を迅速に遂行いたします。
クラウド関連の中でもSaaSは、サブスクリプション収入となるため、解約率を低く抑えられれば新規契約の積み上げで着実な収入増が見込めます。これにより、安定的な成長を実現し、景気に左右されないレジリエンスのある組織への転換を進めます。
2023年は、世界も日本も上記の通り2022年以上の荒波にさらされる不安要素が多くありますが、サイオスグループは、SaaSをはじめとするクラウド関連の製品・サービスの成長で、皆様のご期待に応えてまいる所存です。