ネットワンシステムズは、同社の製品保守を担当するカスタマーサービス本部に業務実行管理システム(EMS)の「Celonis Execution Management System」(Celonis EMS)を導入した。これにより、生産性向上と業務リソース最適化を目指すという。同システムを提供するCelonisが1月18日に発表した。
独自のプロセスマイニング技術を搭載するCelonis EMSは、業務プロセスの可視化やボトルネックの分析、改善効果の数値化、機械学習(ML)を活用した自動化、改善活動の効率化などを支援する。
ネットワンシステムズでは2020年にクラウドベースの業務プラットフォーム「ServiceNow」を導入し、各種業務システムを一元化する「サービス統合基盤」を構築した。カスタマーサービス本部の業務システムにおいてもサービス統合基盤へ移行したが、業務プロセス自体の見直しはしなかったという。一方、同部が運営するコールセンターでは、世界標準規格のCOPC(Customer Operations Performance Center)認証取得に向けて業務改善を推進するため、ServiceNowに集約した従来の業務プロセスを可視化し、改善効果を測定できるプロセスマイニングの導入の検討をしていた。
同社がCelonis EMSを導入した決め手として、「業務プロセスを可視化するだけでなく、プロセスの変更をリアルタイムで即座に反映できること」を挙げた。これはプロセスの変更によりどの程度の業務時間を短縮できたのか、またコスト削減につながったのかという改善効果を数値化して把握できる。ほかにも、「ServiceNowによる業務システム基盤への導入のしやすさ、親和性の高さ、設計・検証・導入スピードの早さ」も高く評価したという。
同社では7月に同システム導入の第1弾として、製品保守の受付から完了までを担当するコールセンター内の一部の業務プロセスを対象に同システムを適用する形で概念実証(PoC)を開始。7~10月で業務プロセスのボトルネックを探し、分析を行った。コールセンター業務においてはServiceNowとCelonis EMSとのシステム間接続ができていなかったため、オフラインデータを利用して分析を実施したという。
10月以降は、業務プロセスの課題に対する施策や業務改善の具体的な内容を検討。導入の結果、従来は“ なんとなく”という感覚でボトルネックになっている部分を認識していたのに対し、業務プロセスの可視化、数値化によりボトルネックと改善効果が鮮明になったという。PoCの段階を終えた同社では、今後ServiceNowとCelonis EMSとのシステム間接続を実現した後、本番環境への利用にシフトしていく予定だとしている。
同社は、コールセンターの業務プロセスにおいて分析結果に基づく改善活動のサイクルを回す一方、それ以外のカスタマーサービス本部の業務プロセスにも同システムを適用するなど、対象範囲を徐々に拡大していくつもりだ。また、同部では今回の導入で培った経験や知見を生かし、ServiceNowを導入した顧客に対して同システムを活用した業務改善を支援するといったアナリストやコンサルタントのような役割を担う方針だという。