調査

客先常駐のエンジニアも含めたD&I制度の普及が課題--アイエスエフネット調査

大場みのり (編集部)

2023-01-26 14:55

 ITインフラ企業のアイエスエフネットは、同社のダイバーシティー&インクルージョン(D&I)の現状について従業員を対象にアンケート調査を実施し、1月26日に結果を発表した。

 同調査は2022年8月1日~10月21日、ITエンジニアを中心とする全国17拠点の従業員1294人を対象に「Googleフォーム」を使って実施した。

 アイエスエフネットでは、全ての従業員が安心して働ける環境を提供し、「働くことの喜び」や「生きがい」を見いだしてもらうため、複数の取り組みを行っている。例えば、さまざまな理由で就労が困難な人々に対し、安心して働ける環境を提供する雇用制度「ダイバーイン雇用」や、ダイバーイン雇用や人権尊重について改めて考える社内イベント「ダイバーインweek」などがある。「ダイバーイン」とは「ダイバーシティー」と「インクルージョン」を掛け合わせた同社独自の造語。

 同調査は、社内のインクルージョンや公平性、帰属意識、心理的安全性の数値を可視化し、社内の現状の把握と課題の抽出をすることで、より多くの従業員が安心して働ける環境づくりを目的としている。

 調査では「経営層は多様性について理解・尊重していると感じるか」と質問したところ、「とてもそうだ」「そうだ」と回答した従業員は76.6%だった。「同僚などの私の周囲のメンバーは、ダイバーシティーについて理解・尊重していると感じるか」という質問では、「とてもそうだ」「そうだ」との回答が51.9%だった(図1)。

図1
図1

 こうした結果について同社は「経営層が多様性への理解について高評価を受けている一方、経営層以外は理解や尊重が不十分と判断されている」と推察する。ダイバーシティーへの理解・尊重の促進に向けて、一層の情報発信や研修実施の検討が必要だと見ている。

 「私は、職場で差別や偏見を受けたと感じたことがある」という項目では、「全くない」「どちらかというとない」と回答した従業員は88.4%だった。数値としては高いが、同社はハラスメント、いじめ、差別・偏見、過重労働、社内派閥、理不尽な指示、不平等を全てなくす「7つのゼロ」を掲げているため、この項目では特にゼロを目指して改善することが必要だと説明する。

 「職場には、私が安心して働くために必要なサポートが十分にあると感じる」という設問では、「とてもそうだ」「そうだ」と答えた従業員は66.8%で、高評価とは言いがたいとしている(図2)。

図2
図2

 同社では、育児休業や時短勤務など子育て世代へのサポート、ワークライフバランスの実現に向けた在宅勤務やワーケーションの導入、各種相談窓口の設置といったさまざまな制度導入に取り組んでいるが、顧客先に常駐するエンジニアには会社の情報が届きにくいという課題があるそうだ。そのため、全従業員が平等に制度について理解・活用できるよう、周知方法の改善や新たなサポート制度の導入を検討していく必要があるという。

 同調査の結果を基に、アイエスエフネットは引き続きD&Iの促進に取り組み、全ての従業員が安心して働ける環境を提供するとしている。

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