日本企業は、従業員がオフィスに出社することを強く望んでいる──。HPのハイブリッドワークソリューション・ペリフェラル部門であるPolyが、2021年12月~2022年3月に、日本を含む世界16カ国2500社以上の意思決定者を対象に行った調査※1では、働き方に対する日本企業の独特の考え方が浮き彫りになりました。
※1 Recruit, Retain and Grow – The Importance of Mee1ng Equality to Long‐term Hybrid Work Strategies(2022年3月)
この調査結果を具体的に見てみましょう。「リアルな場に集まって働くべき」という、日本企業のバイアスが顕著に現れたのが、「1週間のオフィスの平均稼働率について」という設問です。オフィスへの出社再開後、「76~100%の出社率である」と答えた日本企業は22%で、調査したその他15カ国平均の約2倍に上りました。さらには、「ハイブリッドワークを継続するつもりはない」と回答した日本企業は、16カ国で最も多い9%でした。
このコロナ禍で企業は。事業の継続性や持続可能な経営の重要性を痛感したはずです。しかしながら、日本企業は諸外国と比較してハイブリッドワークについて消極的なようです。
調査で、「ハイブリッドワークの未来に万全の準備ができている」と回答した日本企業は、16カ国中最下位の30%。ハイブリッドワークについて、「短期的な準備はしているが、長期的な計画は考えていない」と回答した日本企業は、16カ国で最も多い51%でした。一方で、Slackが行った調査※2では、最も理想的な働き方が「ハイブリッド」と回答した日本人が69%に上り、ハイブリッドな働き方を求めている従業員が約7割を占めていることが明らかになりました。
※2 Future Forum Pulse(Slack、2022年1月)
前回の記事で述べたように、従業員は働き方を重視する傾向が強くなり、企業はこれまで以上に、柔軟にさまざまな働き方に対応しなければならない時代がやってきました。従業員の意向にそぐわない状態が続けば、米国のように「大量離職」や「静かな退職」が相次ぎ、企業経営が成り立たなくなるケースも出てくるかもしれません。
もちろん、企業ごとに、どの程度働き方を変えられるかは異なるはずです。しかし、働き方を重要視する従業員が増えている今、就業規則や業務への取り組み方も改めて見直す必要があることは間違いありません。また、オフィスやデバイスなどのハードの面から新しい働き方へ歩み寄ることも効果的でしょう。ここからは、日本企業でも実践可能なハイブリッドワークへの取り組みの一例をご紹介します。