NEC、DX推進人材の育成プログラム提供--懸念される「リテラシー格差」に対応

大場みのり (編集部)

2023-02-01 17:22

 NECは2月1日、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成を支援する「NECアカデミー for DX」において、「DX推進人材育成プログラム」の提供を開始すると発表した。同プログラムは、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が策定した「デジタルスキル標準」(DSS)に対応しており、DXを推進する5種類の人材類型ごとに育成メニューを用意している。

 NECでは2019年に人工知能(AI)を社会実装する人材を育成する「NECアカデミー for AI」を開講し、2021年からはAIに加えセキュリティやデザイン思考も扱うNECアカデミー for DXを運営している。

 今回提供されるDX推進人材育成プログラムでは、「ビジネス系」としてビジネスアーキテクトとデザイナー、「テクノロジー系」としてデータサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティを育成し、各類型には2~4種類の役割「ロール」がある(図1)。受講企業では一人の従業員が複数のロールを兼ねたり、複数の従業員で一つのロールを担ったりすることも想定される。自社の状況に応じて計15種類のロールから優先的に育成する領域を決め、一部は外注することも考えられるという。

図1:DXを推進する人材類型とロール 図1:DXを推進する人材類型とロール
※クリックすると拡大画像が見られます

 同プログラムは、業務の変革やビジネスの創出につながる知見を深め、DXの推進を目指す人々が対象。受講期間は3~6カ月で、1社当たりの価格は受講者が8人の場合1000万円からとしている。

 DSSは、全てのビジネスパーソンが身に付けるべき能力やスキル「DXリテラシー標準」(DSS-L)とDXを推進する人材の役割や習得すべきスキル「DX推進スキル標準」(DSS-P)を組み合わせたもの。経済産業省とIPAは2022年3月にDSS-Lを公開し、2022年12月にDSS-Pを策定してDSSのver.1.0を取りまとめた。

 今回策定されたDSS-Pでは、5種類の人材類型のほか、全ての人材類型/ロールに共通するスキルの一覧「共通スキルリスト」を定義するとともに、各ロールに求められるスキル項目の重要度を「a~d、z」で示している(図2)。

 同標準では、経済産業省が設定したITスキルの指標「ITSS+」のレベル1~7のうち、独力で業務を遂行することが可能であり、後進人材の育成も可能な「レベル4」を想定している。同日に開催された説明会に登壇したNECのAI・アナリティクス事業統括部 上席データサイエンティストで、NECアカデミー for AIの学長も務める孝忠大輔氏は「これまではITベンダー中心でIT関連の取り組みが行われていたが、レベル4はある程度内製化して自分たちでDXを進められる状態」と説明した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]