エクサウィザーズとロイヤルホールディングスは人工知能(AI)技術を用いた新たな顧客体験の創造で協業を開始した。最初の取り組みとして、天ぷらの衣の形状や適切な揚げタイミングなどを判定する「調理AI」を開発する。両社が2月8日に発表した。
エクサウィザーズはAI基盤「exaBase」を中心に年250件以上のプロジェクトに取り組む。例えば、「exaBase スキルトランスファー」では、さまざまな熟練技能を解析・再現するためのデータやプロセスの構想設計から、データ収集・前処理、可視化・自動化までをワンストップで提供している。「exaBase ロボティクス」では、これまで盛り付けという言語化できない感覚をAIに学習させることで、ミシュラン2つ星シェフの熟練技能を再現した「パンケーキ盛り付けAIロボット」の開発に成功している。
ロイヤルホールディングスは、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や天丼チェーン「天丼てんや」などの飲食事業を展開している。
今回の協業では「データ収集基盤の構築」と「データ解析および調理AIの開発」が取り組まれる。
データ収集基盤の構築では、天ぷら調理における技術の可視化・自動化に向け必要となるデータやプロセスを設計し、分析を行う上で必要となるセンサーや取得すべきデータ形式などを定義する。その上で、温度計や指向性マイク、高精細(HD)カメラを用いて得た天ぷらを揚げる際の複数系統かつ時系列データを扱うための前処理を行いながら明示化されていない作業単位の切り出しなどを行うことでデータ収集基盤を構築する。
データ解析および調理AIの開発では、温度や音声、動画像などのマルチモーダルデータを元に多数のアルゴリズムを用いて、美味しく見た目も良い天ぷら調理を行うために寄与度の高い因子を特定しAIに学習させる。これにより衣の形状や適切な揚げタイミングの判定などを可能にする調理AIを開発する。
飲食業界では、自動オーダータブレットや掃除・配膳などの業務に携わるロボットが普及している。しかし、複数の要因を瞬時に判断しながら熟練かつ繊細な技術を要する調理工程においては、従来のAI/ロボット技術で解析、再現することが難しいといった課題があった。