後払い(Buy Now Pay Later:BNPL)サービスを提供するネットプロテクションズは2月21日、「経営層と現場担当者のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する意識調査」と「決済業務における現場担当者の働き方実態調査」の結果を発表した。今回の調査を通じて、同社 広報担当 村山智美氏は「経営層と現場で働く営業職や現場担当者の間で、社内DXの意識格差が生じていた。その背景には請求業務などの非主業務の負担化。これらの課題が社内でまかり通っている」と指摘した。
デジタル化を望む営業・販売部門
ネットプロテクションズは経営層から営業職、集金業務を担う現場担当者までを対象に、各調査を2022年12月末に実施した。有効回答数は経営者が360人、営業職が361人、現場担当者が289人。
自社のDX進捗状況を問うと「進んでいると思わない」「進んでいるとあまり思わない」を合計した数は経営層が86.1%(有効回答数324)、営業職が80.7%(有効回答数336)と約8割が乏しいと回答している。
「DX化が必要とされる部門や部署」について経営層は営業・販売部門(18.6%)、企画・開発部門(18.1%)、経理・財務部門(17.5%)でDX化が必要であると認識しているが、圧倒的だったのは「特になし」(53.1%)だった(有効回答数360)。
同じ質問を営業職に問うと、営業・販売部門(50.7%)、企画・開発部門(21.9%)、マーケティング・広報部門(21.9%)と自身が所属する部署のDXを望んでいる。「特になし」は25.8%だった(有効回答数361)。
DX化の具体的効果として、「業務効率化」(経営層68%、営業職73.4%、現場担当者69.1%)が圧倒的だが、続く項目は「コスト削減」や「新規顧客の開拓」と、DXを単なるコスト削減と捉える向きが多かった(経営層:有効回答数219、営業職:有効回答数263、現場担当者:有効回答数246)。
「業務効率化に伴う空き時間を価値創造につなげる業務に挑戦したいか」との問いは、経営層が47.5%、営業職が59.9%が同意。調査は調査対象となる企業規模を明らかにしていないが、経営層より営業職がDX化に能動的だったのは、他の調査結果では見られない傾向だった(経営層:有効回答数324、営業職:有効回答数336)。
ネットプロテクションズ 広報 村山智美氏
集金・請求業務のDX化調査結果だが、多くの営業職が支払い督促や回収業務、入金管理の経験を持ちつつも、決済関連業務の1日平均時間は営業職が約42分、現場担当者は約99分。年間で見てみると、前者は約18営業日以上、後者は約44営業日以上も費やし、主業務を圧迫している(営業職:有効回答数150、現場担当者:有効回答数189)。
「顧客への価値提供に直結する業務に時間を割けていない実態が明らか」(村山氏)
金銭トラブルへの対応も営業職が50%、現場担当者が83.9%が経験していると無視できない調査結果を浮き彫りにしている(営業職:有効回答数180、現場担当者:有効回答数230)。例えば、営業職は相手企業が夜逃げ状態、第三者機関の仲介によるコスト増、現場担当者も海外逃亡による滞納や現金を扱うためのストレス増、不正を働く従業員など現場は多くの課題が山積しているという。その結果として、業務上の現金集金を廃止したいとの声は79.5%と約8割におよぶ(有効回答数289)。
企業間取引向け決済「NP掛け払い」とともに、個人消費者を対象にした事業者向け決済「NP後払いair」を手掛けるネットプロテクションズは、「クレジットカード不要で情報漏えいリスクもなく、安全な支払い手段」(村山氏)であると主張。前者はSB C&S、後者はスマートパワーサービスが導入している。
今後のネットプロテクションズは、「地方事業者は人材不足などを背景に業務効率化が急務。我々は地方銀行や信用銀行をパートナー企業として、DX促進を支援する。直近の第3四半期は(4行目となる)愛媛銀行と事業提携を締結し、地方拠点の立ち上げや専任担当者の配置する予定だ。販促システム構築や決済など各領域のトッププレーヤーとの業務提携強化も予定している」(村山氏)
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