スマートフォンは、ほとんどの人のポケットに入っている。その膨大な機能はあって当たり前のものと思う一方で、原材料を便利なデバイスへと変える、長大かつ複雑で物議を醸すこともあるサプライチェーンについて考えることはほとんどない。
忘れがちだが、私たちのデバイス使用は環境に影響を及ぼす可能性があり、それは最初の希土類元素が採掘された瞬間から始まり、スマートフォンが(願わくは)リサイクルのために分解される時点まで続くのかもしれない。
遅ればせながら、スマートフォン業界でこの影響を考慮しようという動きが広がっている。そして、非常に興味深い代替モデルを提供している企業の1社がFairphoneだ。
Fairphoneとは
Fairphoneは魅力的なスマートフォン作りを目指すと同時に、他の問題にも対処しようとしている。それは、工場労働者への公正な賃金の支払い、電子ごみの削減、スマートフォンの長期使用の推奨、倫理的に調達した原材料の使用の促進、個人が自分の電子機器を修理する権利の奨励などだ。
Fairphoneの共同創設者で製品管理の責任者を務めるMiquel Ballester氏によると、同社の目標は「業界を内側から変える」ことであり、そのために同業他社が同じようなことをやってみたいと思うようなプロジェクトやイニシアチブを見つけ出そうとしているという。
Fairphoneが2021年にリリースした「Fairphone 4」は、同社初の5Gデバイスだった。英国とEUでしか販売されていないものの、スペックと機能はAppleやサムスンのスマートフォンと同等で、市場の他のスマートフォンの有力なライバルとなっている。Fairphone 4の詳細なレビューは、品質、機能、接続性について専門家が解説したこちらの記事を参照してほしい。
大半のスマートフォンは専門的な知識と技術がなければ修理がほぼ不可能だが、Fairphone 4は背面カバーを手で取り外すことができる。前面ディスプレイは数本のねじを外すことで交換可能だ。ねじは家庭用のドライバーで外せるため、スマートフォンメーカーからツールキットを購入する必要はない。
これによって、1つ問題が生じる。スマートフォンに与えられるIP規格は、デバイスの密閉性の効果や、ほこりと水粒子がデバイスの隙間にどれだけ入り込むかを評価するものだ。Appleやサムスンの最新スマートフォンはIP68等級の防水防塵性能を備えており、短時間の水没に耐えることができる。
Fairphone 4は非常に簡単に開けられるため、侵入に対する保護性能の評価がほとんどのスマートフォンより低い。
Fairphone 4はIP54等級を取得し、耐候性能があるとみなされている。ほこりの粒子から保護され、短時間の水しぶきに耐えられるからだ。したがって、ユーザーは防水のデバイスか、簡単に修理できるデバイスかという選択を迫られることになる。
「IP規格はモジュール式デバイスの難しい問題だ。分解や修理を容易にすればするほど、防水性能を持たせるのが難しくなる」とBallester氏。「しかし、Fairphone 4ではIP54を取得し、耐候性能が認められた。そのため、多少の雨が降っているとき外で使っても問題ないが、水に沈めることはできない。それでも、当社のモジュール式デバイスでIP規格を取得できたのは、今回が初めてだ」
Fairphoneは、個人の電子機器を修理する権利を奨励している。
提供:Fairphone
消費者の「修理する権利」は、長年にわたって持続可能性のイニシアチブの最前線にあり、最近では連邦政府の支援を受けている。修理が簡単な電子機器は長く使える可能性があるため、所有コストを抑えられるほか、廃棄されるまでの期間を可能な限り延ばすことができる。