オンライン面接では応募者のどこを見る?--ミクシィとLIXILが語る、コロナ禍で変化した採用活動

大場みのり (編集部)

2023-03-20 17:52

 MIXIとLIXILは3月16日、「採用」「働き方」「オフィス」をテーマにメディア向けトークイベントを開催した。各テーマを担当する両社の従業員が登壇し、戦略総務研究所 所長で「月間総務」の代表も務める豊田健一氏がモデレーターを務めた。

 本記事では、採用に関するセッションの様子をお伝えする。同セッションには、MIXIの人事本部で人事戦略部と人材採用部の部長を務める杉村元規氏、LIXIL Human Resources部門 Talent Acquisition Japan リーダーの岩佐泰起氏が登壇した。

(左から)戦略総務研究所 所長/「月間総務」代表の豊田健一氏、MIXI 人事本部 人事戦略部/人材採用部長の杉村元規氏、LIXIL Human Resources部門 Talent Acquisition Japan リーダーの岩佐泰起氏
(左から)戦略総務研究所 所長/「月間総務」代表の豊田健一氏、MIXI 人事本部 人事戦略部/人材採用部長の杉村元規氏、LIXIL Human Resources部門 Talent Acquisition Japan リーダーの岩佐泰起氏

 MIXIはコロナ禍に伴い、採用面接をオンライン化。これにより「応募者の居住地にとらわれずに採用できる」「これまでより多くの応募者と面接できて採用側の知見も蓄積される」「現場の従業員だけでなく採用担当者も同席できる」といったメリットを実感している。採用広報のコンテンツ化にも取り組み、オンライン説明会などの動画コンテンツを急速に拡充している。

 オンボーディングも強化し、テレワークの実施初期には「在宅勤務時に気を付けるべき点」を1on1のオンラインミーティングで周知した。従来、入社時のオリエンテーションは勤務初日に丸一日行っていたが、半日ほどに短縮して関連情報は動画にまとめることで、残りの時間は新入社員と既存社員の交流に充てている。

 LIXILでは、コロナ禍で新卒社員の就職活動の変化や面接のオンライン化などの変化があった。これまで同社は学校推薦や学内でのセミナーを通して採用活動を行っていたが、学生自身がインターネットを使って自主的に応募企業を探す動きが加速しているという。オンライン面接では、応募者を見極める難しさも感じているそうだ。「以前は受付や部屋への案内を担当した従業員からもフィードバックを得ることができたが、オンライン面接では応募者の“素の部分”を見ることが難しい」とLIXIL Human Resources部門 Talent Acquisition Japan リーダーの岩佐氏は述べた。

 就職活動の変化に対し岩佐氏は、新卒採用にもダイレクトスカウトを導入している。「一方、ダイレクトスカウトによる採用は非常に工数がかかる。テンプレートのスカウトメールでは、学生から返事は返ってこない。良い学生は他社からもアプローチを受けているので、一件ずつ心を込めてメッセージを送り、返事が来たらカジュアル面談をして、口説いて――ということをしている。採用チームの負担につながるので、最近は人材業界で経験を積んだ人々に一部業務を委託して進めている」

 面接のオンライン化に対しては、新たに採用を担当する従業員向けにプロセスや注意点などをまとめたウェブサイト「TA Hub」を立ち上げた。また、対面の面接も一部再開。新卒採用の一次面接は全てオンラインで行ったが、最終面接はオンラインと対面の両方を用意して応募者に選択してもらうようにした。「皆対面を選ぶのではないかと思ったが、実際には50~60%がオンラインを選び、意外だった」と同氏は振り返る。

 コロナ禍での採用活動について、MIXI 人事戦略部/人材採用部長の杉村元規氏は「新卒社員はオンライン上でのコミュニケーションに慣れている印象。最初の緊急事態宣言下に入社した新卒と最近の新卒のつながり方を見比べると、前者は同期との関係構築に難しさを感じており、入社から1年たっても同期を“さん付け”で呼んでいるケースも見られた。後者はオンラインだけでなくオフラインの機会も積極的に活用しており、環境に適応している印象」と語った。

 LIXILの岩佐氏は杉村氏と同様、近年の新卒社員の「オンラインへの強さ」を実感している一方、「コロナ禍世代の子はアルバイトや部活の制限があっておとなしい子が多いかと思いきや、実際にはそうではないと感じる。むしろガッツやバイタリティーがある子が多く、個人的にはコロナ禍世代特有の傾向はあまり見られない」と述べた。

 オンライン面接での見極めのコツに関しては、「コミュニケーション面ではリアルとあまり変わらない。情報量に差はあるが、オンラインでしか得られない情報もある。例えば応募者が雑音が入る場所で面接を受けていたら、『環境をきちんと整えていない』と感じてしまう。やはり、オフライン/オンラインに関係なく“隙”は出るのだと実感している」と杉村氏。

 岩佐氏も「面接なのに洗濯物がぶら下がっているなど、『さすがにそれはないだろう』と思う応募者は時々いる。そういう所で気配りができるかどうかを見るようにしている」という。最終面接でもオンラインを希望する学生が多い理由については、「データが出たばかりでまだ分析できていないが、他の企業の選考も並行して受けているからかもしれない。だが、オンラインで面接した学生に内定を出してもすぐに承諾してもらえたケースもある」と説明した。

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