日本IBMは、医薬品の流通経路と在庫を可視化するプラットフォームの運用検証を4月から開始する。ブロックチェーン技術を用いることで、データに対して安全にアクセスすることができる一貫したプラットフォームの構築を目指す。
参加・協力各社は、医薬品の工場出荷から医療機関や薬局での処方、調剤、投与までの一連の流れを「医薬品データプラットフォーム」上で検証する。また、参加医療機関などにおける医薬品在庫情報を各参加者はアクセス権限に基づいて参照できるようにし、偏在庫の解消を検証する。さらに、品質管理情報として温度管理の在り方など医薬品の適正流通(GDP:Good Distribution Practice)や事業継続計画(BCP)対応方針についても検討する。
医薬品データプラットフォームの概要
この検証は、「ヘルスケア・ブロックチェーン・コラボレーション(HBC)」で塩野義製薬、武田薬品工業、田辺三菱製薬、ファイザーの4社を中心に検討してきたプロジェクト。HBCは2018年10月に日本IBMが製薬企業や医療機関など約20の企業や団体と設立したコンソーシアムで、医療・製薬業界の情報交換の仕組みとしてブロックチェーン技術を活用することを検討している。
HBCでは、製薬業界にとどまらず医薬品卸と医療機関、さらには実際に医薬品物流を担っている物流企業とも協力して医薬品流通経路・在庫を可視化し、トレーサビリティーを実現する医薬品データプラットフォームを検討してきた。
今回の検証では、地域におけるデータの利用/活用による地域医療への貢献なども視野に入れる。なお今回、これまでHBCで検討してきた4社の製薬企業と日本IBMに加えて、協力企業として、製薬企業5社、医薬品卸7社、物流会社4社が参加する。