現在、デジタルファーストキャンプ4期生として受講しているイオン DX推進チームの山田宏子さんは、仕入れや開発などの商品部からデジタル事業に異動したことが同プログラムの受講のきっかけだという。
イオン DX推進チーム 山田宏子さん
「デジタル事業には、デジタルマーケティングや内製化を進めるために多くのエンジニアやデータアナリストなどがいる。その皆さんと業務を進める中で、コミュニケーションやエンジニアの方が描く思いを理解し、周囲に伝えたいと考えた時に、自分自身もデジタルのことが分からなければ答えられないという課題感を持っていた」と、当時の思いを話す。
イオンには、従業員がデジタルに対する知見を広げる「イオンデジタルアカデミー」が用意されているが、山田さんは「社内のプログラムは若い人に受けてほしい」という。また、「若い人は社内のプログラムでデジタルの知識を深めていくが、受け止める側になる私たちが同じレベルにいなければならない」という思いから、同プログラムを受講していると話した。
受講前は、エンジニアとコミュニケーションを取る中で、作成してほしいもののイメージを的確に伝えることが難しかったり、食い違いが起きてしまったりと課題を感じていたという。しかし、プログラムを通してノーコードツールを活用することで、LPやウェブサイトのモックアップを簡単に作成できることを実感。まずはモックアップを作りエンジニアに見せることで、認識がたがわず、より良い製品の作成につながるのではないかと期待している。
ほかにも、従来は「PowerPoint」を用いて行っていたプレゼンテーションを、音声や動きをつけた動画にして社内で共有し始めている。毎回、口頭で説明する必要がなくなり、ファイルを共有することで業務の効率化につながり、さらにディスカッションの時間を増やすことにつながっているという。
今後は、モックアップや動画の作成など、同プログラムで得たスキルを業務に生かすとともに、「山田さんができるなら、私もできるだろう」と、デジタルに対するハードルを下げるきっかけになりたいと話す。「DX推進チームの役割として、従業員のデジタルに対するハードルを下げることは非常に重要だと思う」と展望を語った。
次に、同プログラム修了生の川島康太郎さんは、「定年後の収入源の確保、多様化を目的にデジタルファーストキャンプを受講した」と話す。
川島康太郎さん
川島さんは現在、製薬会社の営業職に就いており、業務では顧客に製品をプレゼンする際にデジタルツールを活用しているという。「今後、新しく何かを始めるにしてもデジタルは外せないだろう」という思いがある一方、「新卒からずっと同じ会社に勤めているため、自分の視野が狭いことに気付かないままデジタル変革の波にのみ込まれてしまうのではないか」という危機感もあった。そこで、ウェブサイトやECサイトの作成をしながら、デジタルに関する全体像をつかめる同プログラムの受講を決めたという。
受講前は、「ウェブサイト作成もプログラミングもできないのではないか」と思っていたが、実際に課題に取り組むと、ノーコードでもウェブページを作成できたり、最初からプログラムを組まなくてもコピー&ペーストで、さまざまな要素を組み合わせることでプログラミングができたりと、「やればできる」という感触を得られたと同時に自己効力感の向上にもつながったと話す。特に、課題を通じてさまざまなツールに触れることで、視野が広がる契機になったという。
実際に、プログラムを通してさまざまな人と関わりを持つ機会があったという。同プログラムの開始直後から、7~9人が有志で「勉強仲間のミーティング」を開催。参加メンバーが課題の取組状況などを共有して互いに励まし合い、キャンプを乗り越えるための活力や気付きを得ることを目的に集まったという。
川島さんは、参加メンバー同士でミーティングやSlack、1on1など、継続的にコミュニケーションを取っていたからこそ、個人ワーク中心のプログラムを乗り越えられたと話す。有志の勉強会はプログラム終了後も月に1回のペースで開催されており、近況報告や相談事、デジタル関連の話題で盛り上がっているという。
プログラム内では、小林教授に「アジャイル、とにかく作成して公開して改善することが大切」と言われ、考え方や価値観の面でも変わったと述べた。「今までは、完璧を求めるあまり、なかなか行動に移せず思い悩むことが多かったが、今ではある程度の段階で完成していなくても先に進めていいのだと自分に言い聞かせることで、気持ちが楽になった」
今後は、撮りためていた写真や動画を一本にまとめて短いムービーにし、いずれは収入を得られるレベルにして、目標の定年後の収入源の確保につなげたいと話した。