前回までITとOTの融合による新たなセキュリティリスクの増大、サイバーフィジカルシステムの形成、そして国や国際機関を含んだグローバルでの対策の活発化について解説してきました。今回はそのような背景を踏まえ、今後のIT/OTセキュリティがどのようになっていくか、3つの将来予測をしてみます。
1.ITとOTセキュリティの統一
「Society5.0」の実現やDX の推進により、ますますITとOTの垣根がなくなり、一つのシステムとして融合されたサイバーフィジカルシステムが形成されていきます。そんな中で、OT領域のセキュリティ対策基盤や組織を独立した形で立ち上げ、新たに組織やポリシーを作っていくのは非常に非効率的です。
サイバーリーズンの調査によれば、調査に回答した国内組織の72%は、「サイバーセキュリティ人材を十分に確保できていない」としており、既存のセキュリティ人材が少ない中で、さらにOT専門のセキュリティ人材や組織を確保することは、合理的ではありません。 そのため、これまでのセキュリティ対策基盤にOTセキュリティの考えや情報と、監視においてはログなどを取り入れて、ITとOTを統合した包括的なセキュリティ対策基盤、言い換えれば「サイバーフィジカルシステムセキュリティ対策基盤」を構築する方が合理的と言えます。
この傾向は、あるセキュリティ研究ファームも同様に述べており、2021年までに最高情報責任者(CIO)、最高情報セキュ責任者責任者(CISO)、最高セキュリティ責任者(CSO)の管理下にOTサイバーセキュリティが組み込まれると予測していました。
また、このようなIT/OT統合セキュリティ監視もサービスとして市場に提供され始めています(図1参照)。
図1.横河電機が提供している「OpreX IT/OT SOCサービス」の例(出典:横河電機)
それでは、どのようにしてITとOTの統合セキュリティ対策基盤を実現すべきでしょうか。