SBテクノロジー(SBT)と龍谷大学は、農業データを一元管理するデータ分析基盤を開発した。学生が自由にデータにアクセスして分析・活用できる環境を整え、農学分野でデジタルスキルを持った人材の育成を強化している。
データ分析基盤では、気象、水質、土壌など、農場に設置されたセンサーから集めたデータを「Microsoft Azure」に自動集約する仕組みになっている。データの受け口となる収集基盤、生データを格納するデータ蓄積基盤、可視化・分析をしやすくするための加工基盤の3構造となっており、データの扱いやすさとアクセス性を向上している。万一、データを削除してしまった場合でも、すぐに復元可能な構成となっており、学生でも自由にデータにアクセスでき、安心して分析を行うことが可能だという。
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CSV、JSON、「Excel」などさまざまな形式でデータを蓄積でき、過去に収集したデータを有効活用するために、手動でのアップロードにも対応している。また今回の取り組みの一環として、農学部と先端理工学部の学生向けに、SBTのデータサイエンティストが実際に収集した農業データを用いたレポート作成演習の講義を行った。学生は取得したデータを「Power BI」で可視化し、作物の生育環境の把握に活用している。
龍谷大学の農学部では、農場の環境データを収集・管理し、日々の実習を行っていたが、データの一元化ができておらず、データの管理や共有に課題があった。同大学は、SBTがMicrosoft製品の豊富な開発実績や知見を有しており、一元的に管理・分析できるデータ基盤の開発が可能である点を評価し、今回の取り組みが実現した。
今後、同大学ではデータ分析基盤のさらなる活用のために、収集対象となるセンサーの拡充、並びにAIを活用したより高度な分析に向けて取り組んでいく方針だ。
農場に設置された水田センサーと田植えの実習風景