松岡功の一言もの申す

狙いは「ゲームチェンジ」--DXビジネスでマルチクラウドを掲げたIBMの思惑

松岡功

2023-04-06 12:51

 IBMがDX支援ソリューションのマルチクラウド展開へ本格的に乗り出した。そこには、DXビジネスにおいてクラウドのハイパースケーラーから主導権を奪う「ゲームチェンジ」の狙いがありそうだ。

IBMの「DSP」がマルチクラウド対応に

 日本IBMが3月30日、業界や事業特性ごとに共通して必要となるDXの共通基盤を提供する「デジタルサービス・プラットフォーム」(以下、DSP)において、そのインフラとなるクラウドサービス(IaaS)として「IBM Cloud」に加え、「Amazon Web Services」(以下、AWS)や「Microsoft Azure」(以下、Azure)などのマルチクラウドに対応することを発表した。

 企業においてマルチクラウド環境を活用するケースが増える中で、それぞれのクラウドとDSPが連携することで全社的なDXの推進を支援しようというものだ。また、DSPを機能ごとに分割し、単一機能での導入をはじめ、顧客が既に利用しているクラウド環境への導入や運用との連携なども可能としている。

 「IBMがこれまでのDX支援で培ったノウハウをソリューション化したDSPにより、ビジネスの変化に追随して柔軟かつ迅速に拡張できるアプリケーションの実現と、テクノロジーを活用した運用自動化や高度化、さらには顧客体験の向上を図っていく」というのが、今回の発表における同社のメッセージだ。

 今回発表のマルチクラウドに対応したDSPは、自社に最適なクラウドサービスの選択を可能にするだけでなく、クラウドが本来提供する価値を最大限に引き出すことを目指しているという。その例として、迅速かつ柔軟なアプリケーション開発とその展開を可能にする「DevSecOpsパイプライン・ビルダー」や、運用監視の自動化と高度化を実現する「AIを活用したIT運用サービス」を新たに提供するとしている(図1)。

 
図1:強化されたIBMの「デジタルサービス・プラットフォーム」(DSP)の概要(出典:日本IBMの発表資料)
図1:強化されたIBMの「デジタルサービス・プラットフォーム」(DSP)の概要(出典:日本IBMの発表資料)

 今後はさらに、さまざまなクラウドやオンプレミスにも提供範囲を拡大していく構えだ。特にオンプレミスで最新のクラウド技術を活用するケースが増えていることから、クラウドネイティブ技術のオンプレミス活用に対応するDSPを提供し、ハイブリッドクラウドへの需要の高まりに対応していくという。

 また、「業務マイクロサービス」は現在、金融サービス、クレジットカード、ヘルスケアの業務をサービス部品化しており、今後は保険や流通、製造などの業界向け、さらにサステナビリティー、エンタープライズAI、メタバースなどの用途に応じたマルチインダストリープラットフォームとしてDSPの拡充を進めていく計画だ。

 ちなみに、IBMはDSPを2020年に金融サービス向けに提供開始し、2023年3月までに28の金融機関で採用されているとのこと。今回のマルチクラウド対応についても日本IBMが2022年12月に開催した年次イベント「Think Japan」で方針を明らかにしていた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]