日立製作所(日立)と阪急阪神ホールディングス(阪急阪神HD)は4月10日、大阪市都島区医師会の協力の下、新たなヘルスケアサービスの実証を開始したと発表した。
両社は以前から要介護高齢者を対象に、デジタル技術を活用した在宅介護の質や医療・介護職の業務効率の向上を支援してきた。今回、これまでの取り組みをより拡大し、深化させるため、ヘルスケア分野における新たなサービスの共創に合意。医師会の協力で、3月から医療・介護職の関係者間で情報連携アプリを用い、心不全や糖尿病、骨粗しょう症の重症化と再発予防を目的とした実証を開始した。
同実証では、2019年に立ち上げた地域包括ケア支援サービス「阪急阪神みなとわ」に、患者の健康や医療、介護に関する情報を総合的に収集する「PHRアプリ」や「地域連携手帳」をひも付けることで、医療・介護関係者や家族がタイムリーに患者の状況を把握し、治療やケアの最適化を検討できるようになるという。
実証のイメージ
阪急阪神HDが運営するPHRアプリ「いきいき羅針盤」の画面例
具体的には、患者が日々のバイタル情報や問診結果をPHRアプリや地域連携手帳に入力し、そのデータを阪急阪神みなとわを通して区内の医療機関と介護事業所に迅速かつ安全に共有する。
これにより、疾病の重症化や再発を減らし、患者や家族における生活の質の向上、医療や介護費の適正化につながるかどうか、また現場での観察・記録・報告などの事務作業をデジタル化することで作業負担の軽減につながるかを検証するという。
今後、両社は同実証の結果を基に、自治体と連携した医療施策におけるEBPM(証拠に基づく政策立案)の推進支援への適用検討を行うとともに、患者に対する適切なサービスとその効果を定量的に検証していく実証も進めていく予定だ。この取り組みにより、将来的には医療費などの適正化を成果報酬とした「成果連動型民間委託契約方式(Pay for Success)サービス事業」への展開を目指すとしている。