「2023年は集大成の年」--日本法人10年目のワークデイが戦略発表

大場みのり (編集部)

2023-04-13 09:35

 人材管理ソリューション「Workday HCM」などを展開するワークデイは4月12日、2023年の経営方針について説明会を開催した。

 米Workdayの2023会計年度(2022年2月~2023年1月)のサブスクリプション収入は、前年比で22.5%増加。従業員数は30カ国以上で1万7700人以上に上り、アジア太平洋(APAC)地域では1000人を突破した。同社のソリューションは175カ国、35言語で展開されており、顧客数は1万社以上。顧客満足度は97%、継続率は95%だという。

ワークデイ エグゼクティブ・プレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長の正井拓己氏
ワークデイ エグゼクティブ・プレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長の正井拓己氏

 説明会に登壇したワークデイ エグゼクティブ・プレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長の正井拓己氏は「昨今IT業界では人員や組織を整備している企業も多い中、われわれは堅調に業績を伸ばし、組織も拡大している」とアピールした。

 Workdayでは2022年、Carl Eschenbach(カール・エッシェンバック)氏が共同最高経営責任者(CEO)に就任。Eschenbach氏は2018年から同社の取締役を務めており、以前はVMwareで社長、最高執行責任者(COO)、最高財務責任者(CFO)代行などを歴任した。

Workday 共同CEOのCarl Eschenbach氏もオンラインで登壇。「岸田首相のリスキリング支援の表明もあり、われわれは日本を可能性のある市場と見ている。日本に寄り添った政策と充実した体制のもと投資を増やしていきたい」と語った
Workday 共同CEOのCarl Eschenbach氏もオンラインで登壇。「岸田首相のリスキリング支援の表明もあり、われわれは日本を可能性のある市場と見ている。日本に寄り添った政策と充実した体制のもと投資を増やしていきたい」と語った

 正井氏は、国内の人事トレンドとして「人的資本経営」「リスキリング」「ジョブ型雇用」「従業員エンゲージメントの管理・向上」を挙げ、「日本でも『人事変革が事業戦略やDXの根幹を担う』という考えがようやく浸透してきた」と所感を述べた。

 その上で同氏は、2023年におけるワークデイの戦略として「ソリューションのさらなる展開」「パートナーエコシステムの強化」「日本法人の拡充」を挙げた。「私自身、ワークデイのリーダーに就任して今年で3年を迎える。国内市場の人材ソリューションのトレンドは、この数年で変わってきている。今年は“ワークデイ集大成の年”。今後5年間のビジネス成長に向けて、攻めの戦略を展開していきたい」(正井氏)

ソリューションのさらなる展開

 ワークデイはこれまで製薬企業やIT企業などの大企業を中心にソリューションを展開してきたが、今後は人材管理(HCM)製品において日本市場要件への対応を強化し、中堅企業への展開も進める。

 AIと機械学習(ML)の分野にも注力し、既に複数の機能を自社製品へ搭載している。HCM領域では職務定義を構成するスキルの提案やラーニングコンテンツの推奨、ファイナンシャル領域では経費の確認、金額の異常値検出などの機能がある(図1)。正井氏は「1万社を超える顧客企業が利用することで、われわれのテクノロジーはさらに進化するだろう」と自信を見せた。

図1:現在搭載されているMLの機能例 図1:現在搭載されているMLの機能例
※クリックすると拡大画像が見られます

 加えてワークデイは、従業員からのフィードバックを収集・分析するソリューション「Workday Peakon Employee Voice」を近日中に提供開始する。同ソリューションは、収集されたフィードバックから従業員エンゲージメントなどを可視化し、マネージャーに具体的なアクションプランを提示する。WorkdayでもPeakon Employee Voiceを利用しており、従業員エンゲージメントの可視化に取り組んでいる。全世界の従業員は毎週金曜日にアンケートへ回答し、各マネージャーがリアルタイムに結果とアクションプランを受け取る。そのほか、特定の事象に対して従業員が自由に意見を伝え、マネージャーが回答する機能もある。

パートナーエコシステムの強化

 同社は、パートナー企業の拡充や共同ソリューションの展開などを目指している。パートナー企業の拡充では、中堅企業へのソリューション提供に向けて、人事制度改革の領域に詳しいパートナーや、導入後のチェンジマネジメントの運用も支援するパートナーとの連携を進める。また、アクセンチュアやデロイト トーマツとの連携をファイナンシャル領域にも拡大する。

 共同ソリューションの展開では、Workday HCMと東芝デジタルソリューションズの給与ソリューションを連携するコネクターを東芝デジタルソリューションズから提供している。そのほか、ESG(環境、社会、ガバナンス)、採用、ファイナンシャルなどの領域において、パートナーと共同ソリューションの開発に取り組んでいる。

日本法人の拡充

 2023年で10周年を迎える日本法人は、営業体制の展開や採用力の強化などを進める。営業体制の展開では、デジタルセールス組織、パートナーとの協業ビジネス専任のセールス組織を新設。採用力の強化では、日本専属の採用チーム発足、国内にはなかった職種の導入などを行っている。

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