米Dell Technologiesの共同最高執行責任者(Co-COO)を務めるChuck Whitten氏が来日し、同氏に直近の業績やビジネスモデルの変化、AIやマルチクラウドなどの成長分野の取り組み、日本市場に対する見方などを尋ねた。Whitten氏は、副会長のJeff Clarke氏と共にCOOを務め、インフラストラクチャーソリューションーグループ(ISG)とクライアントソリューショングループ(CSG)の指揮やサプライチェーンを含む事業運営、長期的戦略、クラウド、エッジ、通信、アズ・ア・サービスなどを担当している。
--2023会計年度(2023年1月期)は過去最高の売上高を記録しましたが、PC需要の減速や大規模な人員削減など不安要因もあります。業績状況をどう評価しますか。

米Dell Technologies 共同最高執行責任者のChuck Whitten氏
全体的には満足しています。特に2022会計年度が17%増だったことから、さらに成長(1%増)できたことは喜ばしい結果です。テクノロジーが社会や人々にとって不可欠な存在となっているだけに、成長を加速させることができるでしょう。
AIやエッジコンピューティングなど今後の成長機会にも恵まれ、われわれだけでなくお客さまもITインフラへの継続的な投資を通じて変革を推進しようとしていますから、共にこうした成長分野(エッジ、通信/5G、マルチクラウド、AI、セキュリティ、データ活用)へ取り組むことでさらなる変革を創造していきたいと思います。
一方コスト管理については、2023会計年度第2四半期の時点でIT支出の減速が見込まれましたので、いち早くコストを節減する方向に切り替え、われわれが対処できる範囲において努めてきました。
--サーバーなどのISGの事業が全社的な業績を支えていますが、今後もこの傾向が続くのでしょうか。また、コアビジネスと成長分野との比率をどう変えていく方針でしょうか。
成長分野の取り組みはまだ日が浅く、実績やコアビジネスとの比較などは開示していません。成長分野については数字を追うよりも、お客さまとどう革新を生み出せるかを重視しています。ただ、ご指摘のようにISGのビジネスは売り上げ、営業利益とも非常に好調でした。成長分野の中でもエッジコンピューティングと通信がISGの業績に大きく貢献しています。
われわれは、PCからサーバー、ストレージに至るまで多くの市場でリーダーに位置しますから、他社に比べてお客さまのご要望へエンドーツーエンドで対応できるユニークな存在です。コロナ禍の急激なPC需要に対応することができ、これが一巡して今度はITインフラへの需要に対応しているところです。2023会計年度の業績は、まさにこうしたわれわれの特徴が表れたと言えます。