オラクルは、New York Timesのベストセラー作家であるSeth Stephens-Davidowitz氏と共同で実施した「意思決定のジレンマ(The Decision Dilemma)」研究の成果を発表した。
これによると、調査対象となったビジネスリーダーの70%が意思決定をAIに委ねると回答していることがわかった。
またビジネスリーダーの85%が過去1年、意思決定に対して後悔、罪悪感、疑問などを抱く「意思決定の苦悩」を経験している。さらに72%の回答者は、データ量が膨大なこととデータに対する信頼の欠如が、意思決定を妨げているとしている。くわえて94%が過去3年間に意思決定の方法が変化していると回答し、97%はデータを活用したいと回答している。
この研究は、日本を含む世界17カ国、1万4250人の従業員とビジネスリーダーを対象とした調査をベースにしている。調査は2023年1月に実施された。各国のサンプルは、社長、CEO、会長、経営幹部、CFO、CTO、ディレクター、シニアマネージャー、HRマネージャーなどの役職を持つ従業員とビジネスリーダーで構成されている。
このほか、膨大な量のデータの影響については、74%の人が、毎日行う意思決定が過去3年間で10倍に増えたと回答し、そうした意思決定を行おうとする際に、78%がかつてないほど多くのデータソースから大量のデータ攻めに遭っていると回答している。
また86%がデータ量の増加により私生活や仕事上の意思決定がより複雑になっていると回答し、59%がどのような決断をすべきか分からないという意思決定のジレンマに1日に1回以上直面しているという。さらに35%がどのデータやデータソースを信頼すべきかがわからない、70%がデータに圧倒されて意思決定をあきらめたことがあると回答している。
97%はデータを活用したいと考えており、意思決定の改善(44%)、リスクの低減(41%)、意思決定の迅速化(39%)、収益の向上(37%)、不測の事態への対応(29%)などにおいてデータによる支援が求められている。
一方で、異なるデータソースを管理することで、すべてのデータを収集するために新たなリソースが必要になり(40%)、戦略的な意思決定が遅くなり(36%)、ミスが発生する機会が増えた(26%)という。また77%が、自分たちが得ているダッシュボードやチャートは、意思決定に必ずしも直結していないと回答している。そして72%が、ほとんどの利用可能なデータは、IT専門家やデータサイエンティストにとってのみ有用だと考えている。
しかしビジネスリーダーたちは、この現状を打破する必要があることを認識しており、適切なデータとインサイトは、人事(94%)、財務(94%)、サプライチェーン(94%)、カスタマーエクスペリエンス(93%)における意思決定の改善に役立つと考えている。
データの収集と解釈のストレスについては、70%の人が、膨大なデータの収集とその解釈はとても手に負えないほどの悩みの種だと回答しており、ビジネスリーダーの78%は、人間が決断を下してから、それを正当化するためのデータを探すことが多いと答えている。また従業員の74%は、企業はデータよりも最も給料が高い人間の意見を優先することが多いと考え、24%はビジネスで下されるほとんどの決断が合理的ではないと考えると回答している。
このような状況の厳しさから、全体回答者の64%、そしてビジネスリーダーの70%が、「データの収集と解釈のストレス」が消え去り、ロボット/AIに意志決定させることを望んでいる。
この結果についてデータサイエンティストで「Everybody Lies and Don't Trust Your Gut」の著者であるDavidowitz氏は、今回の調査により、インターネット検索、ニュースアラート、友人たちからの不要なコメントなど、平均的な1日の中で得る圧倒的な量のインプットが頻繁に、脳が処理できる範囲を上回る情報量に達していることが明らかになったとした。そして、手元のデータストリームを管理し、企業がシグナルとノイズを区別できる方法を見つけることが、困難な状況を打開する重要な第一歩になるとした。