ネオジャパンと横浜市は、「要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の取組化」における実証実験を行った。これは、同市が募集している民間企業のデジタル技術を活用して行政サービスのDX化を進める「YOKOHAMA Hack!」の実証実験の第1弾だという。ネオジャパンが4月27日に発表した。
国土交通省は、水害や土砂災害が発生する恐れがある施設において利用者の円滑な避難確保を図るため、保育園や幼稚園、小・中学校、障害者施設、高齢者施設などの要配慮者施設に対する「避難確保計画」と訓練の実施を義務付けている。同市には避難確保計画の作成が必要な要配慮者施設が約2600件あるという。
一方、これまで各施設の避難確保計画は「Word」やPDFの文書で管理しており、データの検索や管理工数、データの精度などが課題として挙がっていた。また、文書ベースでの管理や作成の難しさにより、これまで329件の要配慮者施設が避難確保計画を提出していなかったという。
同実証では、ネオジャパンが提供するノーコードアプリ開発ツール「AppSuite」と、業務効率化に役立つ27のアプリケーションを標準搭載したグループウェア「desknet’s NEO」を活用し、「避難確保計画作成アプリケーション」を構築。同アプリを用いることで避難確保計画について学びながら効率的に作成できる。
避難確保計画の作成・管理システムのイメージ
実際に、2022年11月の実証実験準備から2023年3月の完了報告までの5カ月間で未提出だった329件のうち95施設が避難確保計画を提出。デジタル化によるデータ作成の効率化や情報の集約により、提出率の向上につながったとしている。
避難確保計画作成フォーム(浸水想定区域「わいわい防災マップ」もすぐに確認できる)
また、各施設の提出状況の進ちょくを地域防災課がリアルタイムで確認できるようになったことや、入力ミスをシステムでチェックする機能により、確認の手間や入力漏れによる再提出がなくなり、地域防災課職員だけでなく、区役所職員や施設管理者など、避難確保計画における作業工数を大幅に削減。関係者の作業時間が年間で合計423時間かかっていたところ、41%減の249時間に軽減したという。施設管理者に行った利用後のアンケートでは、約75%が「入力しやすかった」と回答した。
横浜市 総務局 地域防災課は同アプリケーションに対して「入力画面のレイアウトや文章などの変更/修正が、区の依頼ですぐに改善できる」「システムで全て管理できるため、これまでのように紙や『Excel』に入力する作業がなくなった」といった点を評価した。
同社は今後、今回の実証によって効果が実証されたシステムを参考に、横浜市の予算規模に合わせたシステム仕様を作成し、本格稼働に向けて提案をしていくという。