Claris Internationalは5月23日、ローコード開発プラットフォームの最新版「Claris FileMaker 2023」の国内提供を開始した。米国などの日本以外の国と地域では4月26日に発売している。
一目で分かる変化としては、リリースの番号が発売された年に基づくようになったことだ。つまり、今回のリリースは従来の方式であれば「FileMaker 20」となるところが、新たな命名規則になったことで「FileMaker 2023」となる。
これについて、同社は「メジャーリリースが12〜24カ月ごとに行われていた時は、メジャー番号でのリリースは理にかなっていた」とする一方で、現在は継続的なイノベーションとより速いリリースサイクルでプラットフォームが進化しており、リリース年に基づくナンバリングスキームへの移行は同社の「反復リリースによる継続的な強化に対するコミット」を示すものという。なお、製品の内部的なバージョン番号は「20.x.x」であるとのこと。
Claris 法人営業本部 セールスエンジニアマネージャーの森本和明氏は「FileMakerは過去3年間で、その歴史の中でも類を見ないペースで進化してきた」と話す。例えば、JavaScriptを使用したアドオン機能のような、再利用可能なコードを使用して、より速く直感的な開発が可能になったという。
モバイル環境でも、Appleが提供する機械学習フレームワーク「Core ML」やテキストの認識表示、「iOS」センサー情報の収集、「Siri」を使ったショートカット、NFCタグの読み取りなどに対応してきた。
また、「異なるシステムと統合することで、より多くの価値をユーザーに提供できる」(森本氏)とし、2020年3月にはFileMakerで作成した業務アプリ(同社は「カスタムApp」と呼ぶ)を「Chatwork」「Dropbox」「Outlook」などのクラウドサービスやアプリケーションと接続可能にするiPaaS「Claris Connect」をリリースした。製品の特徴としては、ワークフローの自動化や手作業の削減、生産性の向上などが挙げられた。
加えて、森本氏は同社が「SOC 2 Type 2」をはじめとする厳格なセキュリティ基準を順守している点も強調した。
FileMaker 2023に搭載された新機能の一部も紹介された。まず、デスクトップソフトの「FileMaker Pro」が「OpenSSL 3.0」に対応し、メール送信で「OAuth 2.0」をサポートした。また、作成、変更、削除といったユーザー操作を検知してログを作成する「OnWindowTransaction トリガ」を搭載したほか、Claris ConnectのフローをトリガーとするスクリプトステップでAPI連携ができるようになった。「GetLiveText 関数」で新たに日本語、韓国語、ウクライナ語をサポートした。モバイルアプリ「FileMaker Go」でも同様の強化が図られている。
サーバーソフトの「FileMaker Server」は、IntelとArmのプロセッサー上で稼働する「Ubuntu 22.04 LTS」をサポート。ブラウザーから利用する「FileMaker WebDirect」の最大同時接続数が600ユーザーから1000ユーザーに拡大された。FileMaker Serverで共有できるファイル数も125ファイルから256ファイルに増えた。
この他にも、「OData 4.01」「Java 17」「Node.js 18」などバックエンドインフラストラクチャーの強化によってシステムをより効率的に実行できるようになったとしている。
店頭パッケージの価格は、FileMaker Pro 2023が税別6万3360円、アップグレード版とアカデミック版が同3万8000円となっている。
最後に、Claris Connectの無料利用枠も発表された。これは、従来のデベロッパープランを無償化するもので、稼働フローの上限数が無制限、月間APIリクエストの上限数が月500ステップ、使用可能なApp数が無制限で利用できる。4月26日から利用可能となっており、FileMaker 2023のリリースとともに積極的に案内していく予定とのこと。