Microsoftは米国時間5月25日、約40ページの報告書を公開し、人工知能(AI)業界の規制強化を求める呼びかけに参加した。具体的には、AIシステムの法規制とライセンスを監督する新たな政府機関の設置などを提案している。
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報告書では、AI技術の規制について青写真を示すと共に、「AIの安全性に関する政府主導のフレームワーク」の導入や、人を欺くAIの悪用を防ぐ対策を講じること求めている。さらに、新たな政府機関を通じて、AI管理のためのさまざまな法規制を整備することも提案した。
Microsoftの副会長兼プレジデントであるBrad Smith氏は、「Governing AI: A Blueprint for the Future」(AIの管理:未来のための青写真)と題されたこの報告書の冒頭で、「AIに必要なガードレールは、広く責任感を共有する必要があり、テクノロジー企業だけに委ねるべきではない」と述べた。
同社は、「ChatGPT」の開発元であるOpenAIの技術を活用した生成系AIツールや機能を、自社のソフトウェアや製品向けに次々と展開している。OpenAIに数十億ドルを投資したほか、ChatGPTを向上させるために、検索エンジン「Bing」のデータを提供する契約も締結した。
今回の規制強化の呼びかけは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)を務めるSam Altman氏が16日に、米議会で同様の証言を行ったことに続くものだ。同社も22日にブログで、AIシステムの検査、監査、制限を行う国際機関がいずれ必要になると指摘している。
OpenAIが2022年11月にChatGPTを公開後、MicrosoftはAIを搭載した新しいBingを2023年2月にリリースするなど、AIツールの競争に拍車をかけてきた。Google、Adobe、Metaなどもこぞって、生成系AIツールを組み込んだツールや機能を発表している。こうしたツールは、人々をさまざまな方法で支援できる膨大な可能性を持つ一方、AIの潜在的なリスクへの懸念を高めてもいる。
非営利団体のFuture of Life Institute(生命の未来研究所)は3月に公開書簡を発表し、OpenAIの「GPT-4」よりも強力なAIシステムは、「社会と人類に重大なリスクをもたらす恐れがある」ため、その開発を一時休止するように訴えた。この書簡には本稿掲載時点で、Teslaの最高経営責任者(CEO)Elon Musk氏、Appleの共同創業者Steve Wozniak氏、そしてAIやコンピューターサイエンス分野の専門家など、3万人以上が署名している。
Microsoftは報告書で、こうしたリスクを認めており、潜在的な問題を予測して先手を打つためにも、規制の枠組みが必要だと指摘した。
「AIをツールではなく武器として悪用する人や、今後生じる安全性の課題を過小評価する人が出てくるだろう」(同社)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。