九州大学は、プロジェクト管理・タスク管理ツール「Backlog」を同大学の情報企画課で活用しており、会議時間の約30%削減といった効果を確認している。提供元のヌーラボが5月26日に発表した。同大学は今後、新規で業務システムを導入する際はBacklogでの業務管理を原則とし、業務効率化の文化を醸成していくという。
九州大学の情報企画課は、人事給与、財務会計、学務など事務部門における各業務システムをはじめ、それを支えるサーバーやネットワークなどの情報インフラの維持管理を行っている。Backlogを導入する前は、利用するツールや情報がバラバラに管理されており、外部ベンダー、課内、システムを導入する学内部門間でリアルタイムに情報共有ができず、定例会議での確認事項が多くなっていたという。案件の複雑化に伴い、「Excel」でのタスク管理も限界を迎えていたそうだ。こうした課題を解決するため、事務用電子計算機システムの機種更新プロジェクト管理を皮切りに、2018年頃にBacklogを導入した。
Backlogにより、部署とベンダー間においてリアルタイムでの情報共有が可能となり、プロジェクトの進行スピードと精度が上がった。ベンダーとの定例会議では、Backlogの画面を確認することで会議資料の作成が不要となり、会議での確認事項が減ることで会議時間も約90分から約60分に短縮された。
その結果、「プロジェクトに関する業務は、全部Backlogに集約して管理する方が効率良くなる」という認識ができ、自然な流れでさまざまなプロジェクトがBacklogによる管理に移行していったという。
「Backlogの強さを改めて実感したのは、コロナ対策でテレワークに移行した時」と情報企画課の担当者は振り返る。「担当者内でのコミュニケーションが取りにくい状況になったが、業務を止めることなく乗り越えられたのはBacklogのおかげかもしれない。対面で丁寧な確認作業ができない中でも、Backlog上で課題を起票して承認を取ることで、詳細な内容を課題上で確認できるほか、承認フローを踏んだ証憑(しょうひょう)としても残る。ヒューマンエラーを防止する、対応する職員の負担を軽減するという意味でも大きなメリットを感じている」
大学職員は異動が多い職種であるため、人事異動などで担当者が変わる際に困らないよう、「Wiki」に担当業務のノウハウを蓄積している。コロナ禍では大学も日々特別対応を迫られ、学生対応に追われる中で新任者の教育に十分な手間を掛けられない場面もあったが、Backlogに必要なナレッジを蓄積していたことで、着任後間もない新任者も同課ではスムーズに業務へ取り掛かれたという。
情報企画課の担当者は「Backlogによって、あらゆる業務において効率化が進んでいる。この流れを止めることなく、日々の業務管理や新しい業務システムの導入時にはBacklogでのやりとりを原則とする文化の醸成・定着を推進しながら、今後もさらに活用の場を広げていきたい」と述べる。