東芝デジタルソリューションズは、気象レーダーから受信した観測データを高精度かつリアルタイムに解析する「気象データサービス」を発表した。サービスの第1弾として、局地的な大雨を高精度に予測する「降雨予測サービス」の提供を開始する。同社では、鉄道、道路、航空などの公共交通事業や、建設やエネルギーなどのインフラ事業者、自治体や医療機関、民間気象事業者への提供を想定している。
気象レーダのデータを一括解析し、降雨予測を実施
同サービスは、雨雲の成長過程を詳細にリアルタイムに解析することで、30分先までの突然の豪雨を予測できるという。対象エリアは日本全国で、全国を250メートル四方に分割し、細かなエリアで予測する。
公共の気象レーダーのデータを解析するため、サービス利用組織では気象レーダーなどのハードウェアを維持・運用することなく、高度なデータ解析によって生成される気象データを利用できる。道路の冠水や河川の氾濫、土砂災害、地下や建物への浸水が発生する前に降雨情報を事前に把握することで、道路の信号制御やアンダーパスの通行止め、各種交通機関の運用判断、商業施設への誘導、危険区域からの避難指示、屋外イベント開催時などの対策に活用できるとする。
雨による災害への対策イメージ
このサービスでは、気象レーダーの観測データを、VILナウキャストをベースとした東芝独自の手法によってリアルタイムに解析し、30分先の局地的大雨の兆候や雨量を高精度に予測する。VIL-NC(Vertically Integrated Liquid water content - NowCast)は、防災科学技術研究所が気象レーダー用に開発した降雨予測アルゴリズムになる。
東芝グループは、1955年に気象レーダー装置を納入して以来、気象レーダーや観測データの情報を処理する気象観測システムなどを提供してきた。2022年8月には、地方自治体との水害対策業務の有効性に関する実証実験を行うなど、水害における課題解決にも取り組んでいる。
今後は、今回の「降雨予測サービス」に続き、雨・雪・あられ・ひょうなどをリアルタイムに判別する「粒子判別サービス」や、近辺の風の強さを広範囲で検知する「突風探知サービス」も順次リリースし、「気象データサービス」のラインアップを強化していく予定だ。