筆者は「Ubuntu Kylin」のレビューを長らく控えていた。というのも、この「Linux」ディストリビューションには一部の人々を戸惑わせたり、懸念を抱かせたりする、ある種のミステリアスなところがあるためだ。しかし実際のところ、Ubuntu Kylinは「Ubuntu Desktop」の公式な「フレーバー」の1つだ。
Kylin Desktopは「Windows 7」によく似ている
提供:Jack Wallen/ZDNET
その前身である「Kylin」は、中国の軍部や政府機関によって利用されることを意図した、「FreeBSD」をベースとしたOSだった。
Kylinはバージョン3.0からLinuxをベースにしたものとなり、2013年にはUbuntu Kylinの最初のイテレーションが公開された。
そして、2023年4月にはUbuntu Kylinの最新バージョン(23.04)がリリースされた。その見栄えは極めて美しいと言えるだろう(上の画像を見て欲しい)。
大きな期待を持たせてしまう前に述べておくと、Ubuntu Kylinのデスクトップは「Ubuntu Kylin User Interface」(これは「MATE」デスクトップを大幅にカスタマイズしたフォークだ)によって、「Windows 7」のクローンのようなルック&フィールとなっている。
その仕上がりはとても美しい。もちろん、美しさがそのまま生産性の高さにつながるとは限らない。しかしUbuntu Kylinはライバルのディストリビューションと張り合えるだけの十分な能力を備えている。デスクトップメニューをクリックすると、以下のように豊富なプリインストールアプリが見つかる。
- 「Firefox」(ウェブブラウザー)
- 「Messages」(LANベースのチャットツール)
- 「Rhythmbox」(オーディオプレーヤー)
- 「Remmina」(リモートデスクトップビューアー)
- 「Pluma」(テキストエディター)
- 「Peony」(ファイルマネージャー)
- 「WPS Office」(オフィススイート)
- 「Thunderbird」(メール)
- 「Video Player」(動画プレーヤー)
Ubuntu Kylinのメニューではアプリが分類されていないが、簡単に検索できる
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興味深い点の1つがアプリストアだ。以前のバージョンでは、容易に「GNOME Software」(「Ubuntu software」と同じもの)をインストールできた。しかし今ではインストールできなくなっているようだ。そして、デフォルトのアプリストアは明らかに中国のユーザーを対象にしており、このツールから必要なものをインストールするのは難しいと感じた。
デフォルトのアプリストア
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