Snowflakeが推進する「データクリーンルーム」--プライバシーを保護しながらデータ共有・活用

阿久津良和

2023-06-07 07:00

 Snowflakeは、セキュアかつプライバシーに配慮した形でデータの共有・活用を実現する仕組みとして「データクリーンルーム」を推進している。日本語に訳すと“データ無菌室”という意味になり、「改正電気通信事業法」などの各規制に対応しつつ、プライバシー保護の強化にもつながる。

 シニアプロダクトマーケティングマネージャー 兼 エヴァンジェリストのKT氏は、6月6日の記者会見に登壇し、その中核技術となる「データクラウド」について「データとデータをつなぐグローバルネットワークのワークロードを一つのプラットフォームで解決するもの」と説明した。

左上から時計回りで、KDDIの木村塁氏と山口求氏、SnowflakeのKT氏、unerryの島田崇史氏
左上から時計回りで、KDDIの木村塁氏と山口求氏、SnowflakeのKT氏、unerryの島田崇史氏

 2023年6月16日に施行される改正電気通信事業法は、世界各国のプライバシー規制強化を踏まえながら、国内でも消費者保護を強化するものだ。SNSに代表されるオンラインサービスから収益化を図る事業者も、データ活用時は規制対象枠に含まれる。具体的には適用除外に該当しないデバイスから情報を取得する場合、通知・公表・同意の取得、オプトアウトのいずれかを実施しなければならない。

 ゲストスピーカーとして登壇したunerry プロダクトマネージャーの島田崇史氏は、法の規制対象は事業者になるため、(取引している)ベンダー企業が問題を起こすと、責任は事業者にも及ぶ」といい、より堅牢なデータ解析環境が必要だと説明した。

 消費者側とすればプライバシー保護は歓迎すべき流れだが、データビジネスを展開する企業の対応は複雑化が避けられない。しかしながら、SnowflakeのKT氏は「(法改正は)ネガティブに受け取られやすいが、われわれは大きなチャンスだと捉えている。世界中のあらゆる人々が必要な規制を考え、企業の信頼性を見極めてデータを渡すのか、真剣に考えなければならない時代だ。われわれは柔軟性のあるプラットフォームを提供しながら、皆さんと一緒に新しいデータの在り方を再考したい」と述べつつ、基盤となる「Snowflakeデータクリーンルーム」を紹介した。

Snowflakeデータクリーンルームの概要
Snowflakeデータクリーンルームの概要

 具体的には、任意のデータウェアハウス(DWH)やデータレイクに蓄積したデータから、匿名化などの処理を施してから識別子などを付与してデータクリーンルームに格納し、パートナー企業や顧客企業が保有するデータも同様の手順でデータクリーンルームに流し込みんで突合する。その結果から広告配信や消費者動向のデータ分析に用いる仕組みになる。

 ウェブブラウザーによるサードパーティークッキーのサポート終了を踏まえてデータクリーンルームは注目を集めてきたが、データ分析基盤やDWHなどを備えるSnowflakeに同機能が加わることで、一貫したデータ管理・分析が可能になる。「あらゆるデータが必要ながらも、特定の個人を識別できる取得できてしまうのが問題だった。この点を解消したのが、Snowflakeデータクリーンルームである」(KT氏)

データガバナンスの一元化も期待できる
データガバナンスの一元化も期待できる

 海外では先行事例があるが、会見では国内事例としてKDDIの取り組みが披露された。同社はグループ全体の各種サービスから取得したデータの共同活用を目指しており、パーソナル事業本部 マーケティング統括本部 DXデザイン部 エキスパートの山口求氏によると、「(Snowflakeデータクリーンルームを通じて)パートナー企業とのデータコラボレーションを提供したい」という。

 現在は顧客からの信頼性を高めながら顧客生涯価値(LTV)を高める「エンゲージメント×ライフタイムバリュー」の開発に着手した段階だ。さらに顧客データ基盤(CDP)とデータクリーンルームを連携させ、2023年度中にデータのサイロ化を解消する予定である。

 ただ、データクリーンルームの活用について、経営戦略本部 データマネジメント部 データガバナンス室 室長の木村塁氏は、「日本インタラクティブ広告協会(JIAA)のガイダンスなども確認しながら利用するのが重要だ」と指摘した。

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