東急不動産とNTT、NTTドコモ(ドコモ)は6月7日、IOWN構想に関連した技術やサービス(IOWNサービス)を活用した新たなまちづくりに向けた協業に合意した。この協業で、3社はまちを訪れる多様な人々に寄り添った環境先進都市の実現を目指すという。
協業の第1ステップとして、東急不動産が取り組むまちづくり戦略「Greater SHIBUYA2.0」で定めた、渋谷駅から半径2.5キロメートルのエリア「広域渋谷圏」において、東急不動産が関与する施設を対象にNTTが提供するIOWNサービスを先行導入する。これにより、先端的な価値を創出する環境先進都市のモデルケースを作り、利便性の享受と環境負荷低減の両立を推進していく。
東急不動産では全社の方針として「環境経営」を掲げ、再生可能エネルギー事業の推進や、都市緑化による生物多様性保全など、事業活動を通した環境課題に取り組んでいる。また、NTTグループでは、IOWN構想を掲げ、光を中心とした革新的技術を活用し、高速で大容量の通信や膨大な計算リソースなどを提供するネットワーク・情報処理基盤の研究開発を進めている。3月にはIOWNサービスの第1弾として「APN IOWN1.0」の提供を開始。IOWN構想では今後、光電融合デバイスをコンピューティングの世界まで適用することで大幅な電力削減を目指している。
このような取り組みを踏まえ、3社は今回、環境問題をはじめとする社会課題の解決に向けて、先端的な利便性とサステナブルを両立した、環境にやさしいまちの実現を目指すことに合意した。協業では、居住者や労働者、テナントの課題、ニーズを拾い上げ、より多くの人に利便性を感じてもらえるようなサービスを検討していくという。
例えば「次世代オフィステナント」では、高速で低遅延なIOWNサービスを導入することで、複数オフィスの拠点間をIOWNサービスでつなぎ、高画質かつ大画面で互いの会議室を投影しながら、対面しているかのようなオンラインミーティングを可能にするという。また、商品の質感を詳細に確認できるほか、AIなどの大容量データの活用がしやすくなり、多言語のミーティングにおいても互いの発言がリアルタイムに自動翻訳できるなど、さまざまな利用方法が期待できるとしている。
働く場所に縛られない次世代オフィステナントのイメージ
ほかにも、「次世代商業フロア」では、IOWNサービスをサービスセンターなどの拠点と多拠点との大容量リアルタイム通信の手段として活用することで、商業施設内にさまざまなロボットや端末を配置。これにより、遠隔地でも接客を受けられるリモートコンシェルジュやリアル着せ替えカメラなど、次世代の商業施設体験ができるとしている。
最新技術の粋を凝らした次世代商業フロアのイメージ
暮らしの面では、IOWNサービスを活用することで、拠点間を大きなスクリーンでつなぐ。このような技術により、例えばジムなどではユーザーの健康状態をデジタルツイン上でシミュレーションしたり、スクリーン上でトレーナーからの指導を受けられたりと、生活を便利で充実したものにできるとしている。
次世代サービスが身近になった暮らしのイメージ
3社は、これらの取り組みを通して、人々が自分らしく働き、多様なエンターテインメントを楽しみ、刺激と憩いのあふれる便利なまちに住まうといった、「職・住・遊」を融合した環境にやさしい渋谷型都市ライフの実現を目指すという。
また、渋谷桜丘エリアに11月完工予定の大型複合施設「Shibuya Sakura Stage」における東急不動産所有区画にAPN IOWN1.0を導入する。オフィスフロアやイベントスペースに対して、APN IOWN1.0を活用した高速かつ低遅延な通信環境を提供するとともに、今後、広域渋谷圏に対してネットワークに限らず、さらなるIOWNサービスについても先行的な導入を検討しているという。
Shibuya Sakura Stageの外観イメージ