機械類を扱っている最中にその動作がおかしくなり、先輩の意見を聞く必要が出てきたとしよう。この場合、拡張現実(AR)ヘッドセットを装着して、すぐ電話をかけるだけで、目にしている状況を即座に相手と共有できる。携帯電話を取り出して写真を撮る必要はなく、遠隔地で勤務している従業員に出張してもらう必要もない。これこそ、Mira Labsが実現していることだ。そして同社はさらに多くのことを実現しようとしている。
AppleのVision Pro
提供:Jason Hiner/ZDNET
The Vergeの報道によると、ARヘッドセットを手掛けるこの新興企業をAppleが買収したという。同報道は、Apple自体が同社のヘッドセット「Vision Pro」を発表した翌日になされた。
この買収は、Miraの最高経営責任者(CEO)Ben Taft氏の非公開のInstagramアカウントで発表された。同氏は「Miraの次なる段階がAppleにおけるものとなり、ワクワクしている:)」と記している。また同投稿には、買収契約の一環として少なくとも11人のMiraの従業員がAppleに移籍したことも示されていたという。
MiraのARは産業界で働く作業員という枠を超え、米空軍との契約にまで及んでいる。またThe Vergeによると、同社のARヘッドセットは米国のUniversal Studios Hollywood(カリフォルニア州ロサンゼルス)と、日本のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に設置されている「スーパー・ニンテンドー・ワールド」エリアのライド「マリオカート〜クッパの挑戦状〜」でも使われているという。
ロサンゼルスに拠点を置くこの新興企業が重点を置いている業界は、製造業のほか、フードサービスや鉱業、化学工業だ。
MiraのARヘッドセット
提供:Mira
MiraのARヘッドセットは、AppleのVision Proと同様に「現実の視界をさえぎらないディスプレイ」を特長としており、その上下自在式のクリアレンズはヘルメットや安全帽といった個人用防護具(PPE)に取り付けられるようになっている。
Appleが「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で米国時間6月5日に発表した3499ドル(約49万円)の複合現実(MR)ヘッドセットであるVision Proは、その性能と価格で多くの人々を驚かせた。そしてこの製品発表によって、Appleのエコシステムがどれほど大きく、没入感のあるものになっていくのかという話題で世間は盛り上がっている。こうした話題が今回の買収によってさらに盛り上がりをみせるのは間違いないだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。