新たな職を得るためにある企業の採用担当者とやり取りしていると考えてほしい。その担当者は人間なのだろうか、それともボットなのだろうか。これは奇妙なチューリングテストのように聞こえるかもしれない。しかし米国で採用に関わる人を対象に最近実施された調査によると、企業の43%は、人工知能(AI)を採用時の面接に利用しているか、2024年までに利用するようになるという。
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「ChatGPT」をはじめとするAIチャットボットの持つ力を知っていれば、添え状や履歴書の内容を簡単に生成できることも知っているはずだ。ユーザーは簡潔なプロンプトを入力するだけで、いつでも品質の高い成果物を数秒以内に受け取れる上、フォローアップのプロンプトを入力して内容を編集したり、自らのニーズに合わせてカスタマイズすることもできる。
Resume Builderが米国で実施した別の調査では、求職者の46%が添え状や履歴書の作成にChatGPTを利用していると回答しており、AIチャットボットの利用が確認されたかたちとなっている。またこの調査では、69%がChatGPTを用いた応募書類の方が手応えが大きかったと答えている。
Resume Builderの最高キャリアアドバイザーであるStacie Haller氏によると、企業の採用担当者は求職者のこういった傾向について一概に不満を感じているわけではないという。同氏は、採用担当マネージャーであればこのような書類を何度も目にしているため、添え状や履歴書がChatGPTによって書かれているかどうか、おおむね見当をつけられると述べた。
Haller氏は「ChatGPTを用いて添え状や履歴書を書くという求職者は、履歴書の代筆サービスや、既存のお手本やオンラインツールを使う求職者と少しも変わらない」と説明した。
採用担当マネージャーもこういった慣行を認めているようであるだけでなく、人によってはAIを積極的に受け入れているため、求職者にとって新たな課題が生み出される可能性もある。
Resume Builderの調査によると、2024年までに企業の採用担当者の43%は採用面接にAIを利用するようになり、15%は採用に至るまでの全ての工程をAIに任せるようになるとみている。
ただし、AIの利用方法は企業によって異なってくるだろう。AIを利用する面接は、テキストによる質問やビデオによるやり取りの後、それを企業の担当者が評価したり、AIのアルゴリズムが審査したりするものになるかもしれない。また、さまざまな資格に関するライブラリーを用いて事前に訓練しておいたAIを使い、複数の候補者の中から最も見込みのある人物を選び出すという方法も考えられる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。