PwC Japanグループ(PwC Japan)は7月10日、ヘルスケア企業における生成AIの概念実証(PoC)を支援するサービスの提供を開始した。
同社は生成AIの専門タスクフォースを組成し、4月から生成AIコンサルティングサービスを提供している。今回提供するサービスでは、生成AI専門の組織とヘルスケア分野の知見を有するチームが連携し、ヘルスケア業界のニーズやリスクを考慮しつつ、生成AIの活用による既存ビジネス変革の可能性を検証する概念実証を支援する。
サービスの対象となるのは、主に製薬企業や医療機器メーカー、病院やヘルスケア業界に参入するテクノロジー企業などだという。生成AIに関する専門性と業界に対する知見を組み合わせて、「ユースケース整理」「データ準備」「検証・調整」「導入・展開計画」「規制・リスク対応計画」といった取り組みを支援する。
例えば、「ユースケース整理」では、ヘルスケア企業特有の各機能や部門ごとに想定されるユースケースの仮説を立案する。また、「検証・調整」ではコンテンツのトライアル生成と業務適用度を評価。「導入・展開計画」では、本格導入に向けた技術や運用、管理面での要件、検討事項の洗い出しと対応計画の策定を支援するという。
同サービスで想定するユースケースは、セールスやマーケティング、医薬品の安全性を監視するファーマコビジランス、新薬の開発から市販後までのコーディネートを担うメディカルアフェアーズ、研究開発、医薬品の効能や安全性といった情報を提供するメディカルインフォメーションなどの各部門において、社内外のさまざまな情報を参照しつつ、用途に応じた情報整理や抽出、メール/各文書などの下書き作成、活動の提案、ブレインストーミングなどで、これらの実現性や価値の検証を支援する。
同社は、同サービス提供の背景について、生成AIが黎明(れいめい)期にあり、かつ破壊的なインパクトをもたらす可能性があることから、過去の実績や知見を積み上げて今後を見極めることが難しいため、リスクに配慮しつつ、実際のデータや業務を対象に仮説立案を繰り返す必要があると説明。同サービスを通して、ヘルスケア企業がこのような取り組みを迅速に行い、有意義なインサイト(洞察)を得られるように支援したいとしている。