IBMは、ビジネスに対応するAIおよびデータプラットフォームである「IBM watsonx」の一般提供を開始したと発表した。
IBM watsonxは、(1)新しい基盤モデル、生成AI、機械学習(ML)向けの「watsonx.ai studio」、(2)データレイクの柔軟性とデータウェアハウスの性能を備えた目的に合ったデータストアである「watsonx.data」、(3)責任、透明性、説明可能性を持って構築されたAIワークフローを可能にする「watsonx.governanceツールキット」(今秋提供開始予定)の3つの製品で構成されている。
IBM watsonxは、IBMやオープンソースのモデルを含む基盤モデルライブラリー、さまざまなユースケースやタスクのためのプロンプトを実験/構築するプロンプトラボ、ラベル付きデータで基盤モデルをチューニングするスタジオなどを提供する。またモデルの学習や開発、ビジュアルモデリングで機械学習モデルを自動的に構築するデータサイエンスとMLの運営も可能にするという。
watsonxを活用することで、ユーザーは、さまざまな企業のユースケースに特化したモデルの展開や、独自のモデル構築ができるようになる。IBMによれば現在までに、通信会社や銀行など、多岐にわたる業界の150社以上の企業が、watsonxのベータ版および技術プレビュープログラムに参加しているという。
watsonx.aiを使用することで、AI開発者は、一連のAI開発タスク用にIBMやHugging Faceコミュニティーが提供するモデルを活用することができる。これらのモデルは、質問応答、コンテンツ生成と要約、テキスト分類と抽出を含む、自然言語処理(NLP)タイプのさまざまなタスクをサポートできるように事前学習されている。また将来的には、効率的にドメインやタスクに特化できるよう、より多様なIBM独自の学習済み基盤モデルにアクセスできるようになるという。
watsonx.dataは、ユーザーがAIワークロードを拡張する際に、データ量、複雑性、コスト、ガバナンスの課題を克服できるように設計されている。これにより、単一のエントリーポイントを通じて、クラウド環境とオンプレミス環境のすべてのデータにアクセスすることができるようになる。
さらにデータサイエンティストやエンジニアでない非技術者ユーザーにも、単一の協業プラットフォームから自社の高品質で信頼性の高いデータにセルフサービスでアクセス可能にし、一元化されたガバナンスとローカルでの自動ポリシー適用により、セキュリティおよびコンプライアンスプロセスを実現する。
なお2023年後半には、watsonx.dataはwatsonx.aiの基盤モデルを活用し、ユーザーとデータとのインタラクションを簡素化、高速化するという。これにより、ユーザーは自然言語を使用して、会話型のユーザー体験でデータやメタデータを発見、補強、改良、視覚化できるようになる。
さらに2024年には、watsonxプラットフォームを進化させ、企業の基盤モデルのユースケースをNLP(神経言語プログラミング)以外に拡大し、特定のユースケース向けに1000億以上のパラメーターモデルを運用することで、より広範な企業導入への扉を開くことができるよう注力するとした。