また今後は、「スター・ウォーズ」でR2-D2とC-3POが口論する場面のように、ドローンと歩道配送ロボットのような異なる種類の配送ロボットが、道を争ってにらみ合いをするようなことが起こる可能性がある。
この場合にも、馬の振る舞いを参考にできるかもしれない。例えば、大きさや種類によって優劣を決め、相手に敬意を払うようにしておき、配送ロボットがあらかじめ確立された序列に応じてお互いに道を譲り合い、誰が最初に品物を届ける優先権を得るかを決めるような設計にすることも考えられる。
Jain氏の研究で得られたもう1つの重要な知見は、馬の繁殖は、基本的に特定の形質を獲得するように行われているため、馬によって持っているスキルが異なっているということだ。同氏の論文では、牧場馬は素早さを、競走馬はスピードを、馬場馬術馬は繊細さを求めて繁殖させていると指摘している。
同様に、ロボットと人間では能力が異なっており、一緒に作業をするときのスピードも違う。従って、将来人間とロボットの間で関係性を構築する際には、お互いに慣れる必要があり、早い段階で一緒に働きながら学ぶことが必要になる。
例えば、人間との距離を一定に保つ必要がある荷物運搬ロボットは、速度、歩幅、ペースなどを特定の人間の歩行パターンに合わせられるように、歩く速度を変えることを覚えなければならない。つまりロボットは、自分の行動パターンを一緒に働く人間に合わせなければならないということだ。
このような早い段階での反復作業による学習は、工場のように人間の姿勢や歩き方が決まっている場面では特に重要になる。このような教育を施しておけば、イライラするような失敗が起きたり、ロボットパートナーに対して非生産的な軽蔑の念が募ったりすることを避けられる。
ロボットの夜明けが近づくにつれて、人間が機械とどのようにコミュニケーションを取り、どんな方法でロボットを訓練して、ロボットをどんな風に位置づけるかが、未来の人類の成功を左右するようになってもおかしくない世界になってきた。
私たち自身が、他の人たちとどう関わっているかを振り返り、人類が長期的に直面するかもしれないチャンスやリスクについて考えてみた方がよいのかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。