Microsoftは米国時間9月18日、同社のAI研究者がクラウドストレージの設定を誤り、同社の内部情報が外部からアクセス可能な状態になっていたことを明らかにした。アクセス許可の範囲が広すぎる認証トークンを公開したことが原因だった。
この問題を発見したのはセキュリティ企業のWizで、Microsoftは6月22日に同社から報告を受けたという。この問題は、MicrosoftのAI研究者がGitHub上のオープンソースのAI学習モデルにコントリビュートする際に、アクセス許可の範囲が広すぎるAzureのSAS(Shared Access Signature)トークンを公開してしまったために発生した。
SASトークンは、Microsoftのクラウドストレージサービスである「Azure Storage」への制限付きアクセスを提供するための機能だ。SASトークンを適切に設定すれば、ストレージ上に保存された情報のうち、限られた範囲の情報だけを公開できる。今回の場合、SASトークンの設定ミスで、意図した以外の情報へのアクセスが可能になっていた。
漏えいした情報には、2人の元従業員のワークステーションプロファイルのバックアップと、これらの元従業員が社内で交わした「Microsoft Teams」のメッセージが格納されていた。Microsoftによれば、顧客データは一切漏えいしておらず、ほかの社内サービスに対するリスクもないという。
Microsoftは、報告を受けて速やかにSASトークンを無効化して、ストレージアカウントに対する外部からのアクセスを遮断したあと、このインシデントについて調査を実施し、同様のインシデントが起きるのを防ぐための措置を取ったと述べている。
Wizによれば、漏えいした情報の量は38TBにおよび、Microsoftのサービスを利用するためのパスワードや秘密鍵、同社の従業員359人が交わした3万件以上のTeamsのメッセージが含まれていたという。また、今回のインシデントではストレージに対する「フルコントロール」が許可されており、誰でもストレージの内容を改変できる可能性があったことや、漏えいが2020年から始まっていたことも明らかにしている。