米IBMは、世界的なAIのスキルギャップを解消するため、スキルアップの機会を必要とする人々に焦点を置き、2026年末までに200万人へAIの学習機会を提供すると発表した。
同社は世界各地の大学との提携を拡大し、パートナー企業と協力して社会人にAIの学習機会を用意するとともに、無料の教育プログラム「IBM SkillsBuild」を通して生成AIのコースを新たに提供する(現時点では英語のみ)。
IBM SkillsBuildはテクノロジー分野でスキルアップの機会を必要とする人々を対象としており、社会人、高校生、大学生、教職員らが価値のあるスキルを身に付け、就労機会を得られるよう支援する。
同プログラムは、サイバーセキュリティ、データアナリティクス、クラウドコンピューティング、デザイン思考など、1000以上のコースを19の言語で提供する。参加者は修了後、IBMのデジタルバッジを取得できる。
IBM SkillsBuildのコースには「プロンプトの書き方」「機械学習(ML)を始める」「AIでカスタマーサービスを改善する」「生成AIの実践」などが含まれている。同プログラムはAIを活用し、学習者をサポートするチャットボットを改善したり、個人の好みや経験に基づいたラーニングパスを提供したりする。
IBMは、AI関連の能力開発に向けて、世界規模で大学と協力している。教員には、講義や没入型の学習体験などIBM主導のトレーニングを用意している。学生に対しても、生成AIやRed Hatのオープンソーステクノロジーといったオンラインコースを提供する。
この取り組みは、現在労働市場が直面している喫緊の課題への対応を目的としており、「2030年までに3000万人のスキル習得を支援する」というIBMの公約に基づいている。2021年以降、700万人以上の学習者がIBMのコースに登録しているという。
IBMは、AIとデジタル化を普及させる上でスキルギャップが大きな障害となっているとし、包括的な考え方を構築・実施する必要があると説明する。同社が行う未来の働き方への投資では、無料のオンライン学習を広く利用可能にしたり、雇用への明確な道筋を示したり、スキルアップの機会を必要とする人々に焦点を置いたりしている。
これを受けて日本IBMは、大阪労働協会、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会とそれぞれパートナーシップを締結していると発表。IBM SkillsBuildの提供を通して、就労や仕事の幅拡大に向けたスキル習得を支援しており、AIに関する学習機会も拡大するという。