生成AIが着々と普及する中、職場における業務のあり方が一変する可能性がある。新たな調査結果から、とりわけ影響を受けやすい年齢層とキャリアが明らかになった。
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Indeed Hiring Labが公表した「AI at Work Report」は、同社の以前のレポートと米労働統計局のデータを基に、AIが主導する変化の影響を受けやすいグループや職務に着目している。
報告書によると、生成AIが「高い」もしくは「非常に高い」能力で、その分野の職務の80%以上を実行できる場合は、生成AIの影響を受ける可能性が「高い」という。
一方、生成AIが「高い」もしくは「非常に高い」能力で、職務の50〜80%を実行できる場合は、影響を受ける可能性が「中程度」で、半分以下の場合は「低い」としている。
調査によると、影響を受ける可能性が最も低いのは若い世代だ。16歳〜24歳の従業員の場合、生成AIの影響を受ける可能性が高いのはわずか5.6%で、低いのは38.4%だ。
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これは、若い従業員が担う役割に起因している。この年齢層の従業員の多くは、高度なスキルを必要としない、もしくはすぐに習得できるスキルの職務に就いている。
例えば、若い年齢層の従業員の16.3%は、調理やサービス職に従事していることが多く、生成AIがそうした職務にもたらすメリットや価値は低いと考えられている。
その一方で、従業員が年を重ねて、キャリアアップしていく中で習得するスキルは、生成AIが優れた性能を発揮できるスキルとなる。
例えば、管理職は通常、特定の分野や職務で数年の経験を積んだ後に就くことになり、25歳〜54歳の労働者の8人に1人が管理職として働いている。
報告書によると、管理職は生成AIが得意とする分野の1つで、職務の67.9%を「高い」もしくは「非常に高い」能力で遂行できるという。
年齢層の高いプロフェッショナルはさらなる教育を受けて、「ビジネスおよびファイナンス」や「数学およびコンピューター」などの職務に就くことが多い。しかし、こうした職務はAIの影響を極めて受けやすい。
そのため、25歳〜54歳の中堅層のプロフェッショナルは、生成AIの影響を受ける可能性が最も高い。具体的には「高い」が13.4%、「中程度」が58.4%、「低い」が28.2%となっている。
そして55歳以上の年齢層になると、再び最も若い年齢層と同じように、生成AIの影響から守られる。高齢労働者が就く仕事の多くは、運転、清掃、衛生管理など、実作業や人とのやり取りに依存し、生成AIが苦手とする業務になるからだ。
そのため、この年齢層の場合、生成AIの影響を受ける可能性が「高い」のはわずか11.5%で、「中程度」が59.4%、「低い」が29.1%となる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。