NEC、2023年度上期は増収増益--利益体質の改善が着実に進行

大河原克行

2023-10-31 06:00

 NECは10月30日、2023年度上期(2023年4~9月)の連結業績を発表し、増収増益の好調な決算となった。利益体質への改善が着実に進んでいることを示す内容になったともいえそうだ。

 売上収益は前年同期比6.4%増の1兆5488億円、営業利益は同101.9%増の279億円、調整後営業利益は同46.9%増の458億円、税引前利益は32.6%増の319億円、Non-GAAP営業利益は同150.7%増の461億円、当期純利益は同225.0%増の129億円、Non-GAAP当期利益は同279.4%増の255億円だった。取締役代表執行役 Corporate EVP兼CFO(最高財務責任者)の藤川修氏は、「想定通りの進展。上期はITサービス、社会インフラともに増収増益になっている」と述べた。特筆できるのが、国内ITサービスの好調ぶりだ。

 国内ITサービスの売上収益は同10.9%増の7057億円、調整後営業利益が161億円増の548億円だった。国内の企業および官公庁向け案件が好調に推移したほか、システムインテグレーション(SI)の収益性が向上し、増益に貢献したという。


 受注についても、堅調ぶりが見られる。国内ITサービス全体では、「パブリック」が前年同期の大型案件の反動減の影響を受けてマイナスとなっているものの、「エンタープライズ」は同14%増という旺盛な需要が見られている。中でも金融は、大型案件の計上があり同39%増、流通・サービスは同5%増と好調ぶりを継続している。製造は同2%減でマイナス成長だが、「低収益案件の獲得を見送る選別受注を行った結果」と藤川氏は説明。「選別受注によるマイナスだが、売上総利益には影響せず問題視はしていない。エンタープライズでは、過去2年半にわたり不採算案件が発生していない」と、利益重視の取り組みを推進し、その成果が出ていることを強調した。

 また、ここでは「有効な注残」という点からも説明した。

 「有効な注残」とは、2023年度内に売上計上が可能な受注を指しており、その観点からITサービス全体では前年同期比10%以上増加した。特にエンタープライズは20%以上も増えているという。2023年度内の刈り取りが可能な案件が積み上がっており、旺盛な受注ぶりが示された格好だ。

 NEC全体の2023年度通期業績見通しは、今回は7月の公表値を据え置き、増収増益を見込んでいる。これを支えるのが国内ITサービスの旺盛な需要とともに、それを2023年度内に刈り取ることができる案件が増加している点が大きい。

 NECは、「コアDX事業」を強化している。コアDX事業は、ERP導入やクラウド構築、データドリブン経営といった変革テーマなどを捉えてDXを推進する「コンサルティング起点ビジネス」と、約130のオファリングメニューで構成する「NEC Digital Platform」(NDP)による「共通基盤」、スマートシティなどの新たな事業領域で展開する「新事業機会」で構成され、国内ITサービスの原動力に位置づけている。

 中期経営計画でも、2020年度に売上収益1410億円のコアDX事業を、2025年度には約4倍の5700億円に拡大する目標を打ち出している。また、コアDX事業の調整後営業利益率は2020年度のマイナス3%の赤字から、2025年度には13%にまで引き上げる計画も示している。

NEC 取締役代表執行役 Corporate EVP兼CFOの藤川修氏
NEC 取締役代表執行役 Corporate EVP兼CFOの藤川修氏

 藤川氏は、「この上期の実績を見ても、コアDX事業は前年同期比で売り上げが5割増えている。さらなる売上げ伸長や、利益の貢献に期待している」と語る。

 コアDXでは、開発標準によるモデル化を推進するとともに、オファリングとの組み合わせによって、個別SIからの脱却を進める。これが、ITサービスの利益率の改善にも大きく貢献することになる。

 藤川氏は、「旺盛な需要に応えるために、リソースシフトにより人員を確保し、その結果、人件費が増加してもきちんと利益を稼いでいる。その点ではうまくやってきている。オファリングによって効率性を高め回転率を増して、同じリソースでも多くのものを稼げるように取り組んでおり、中期経営計画の最終年度に向けて、さらに利益率をアップするための施策を打っていく。物理的にリソースを増やさなくても機能するようにしていきたい」と述べた。

 また、2023年5月から「SAP S/4HANA」による新たな基幹システムが稼働しており、「細かく利益を管理でき、利益体質を改善することができている」(藤川氏)とし、これも利益率の向上に貢献していることを示した。

 このように、今回の上期決算は、利益率向上に向けた幾つもの成果が上がり始めていることを裏づけるものになったといえるだろう。

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