日本ストラタステクノロジーは11月2日、新型の無停止サーバー製品「Stratus ztC Endurance」を発表した。99.99999%の可用性を担保するという。2024年6月に出荷を開始する。
「Stratus ztC Endurance」
ztC Enduranceは、同社が長年ミッションクリティカル向けに提供している無停止サーバー「ftServer」などの高可用性を担保する技術をベースとして、高性能コンピューティング領域などの新たな用途にも対応する拡張性を兼ね備える。2Uサイズのラックマウント型の筐体では、コンピュートやストレージ、I/Oなどの各モジュールや電源ユニットなどのハードウェアを完全冗長化している。
また、「Smart Exchange」と呼ぶハードウェアベースの障害の予兆検知機能により、障害予兆の検知時に、処理停止やデータ損失をすることなくアクティブからスタンバイへ自動的に移行する。さらに「Stratus Automated Uptime Layer」と呼ぶソフトウェアがSmart Exchangeと連携し、製品の稼働状態を500項目で監視して障害の発生を予測。万一の際はSmart Exchangeを実行して、障害を未然に防ぐという。
性能面では、第4世代「Intel Xeon」スケーラブルプロセッサー(Sapphire Rapids)を採用し、DDR5メモリー、NVNe SSDストレージ(1.6TB/3.2TB/6.4TB×6基)、10GbEネットワーク、Gen4 PCIカードなどを搭載する。大規模データセンター/プラント向けの最上位モデル「ztC Endurance 7100」は、2021年発表の第11世代ftServerの最小モデル「ftServer 2910」に比べて11.3倍の高性能化を図ったとする。
ztC Enduranceのラインアップは、ztC Endurance 7100のほか、支社・中規模プラント向けの「ztC Endurance 5100」、エッジおよび小規模プラント向けの「ztC Endurance 3100」の3種類になる。税別参考価格は、7100が1548万7000円から、5100が885万9000円から、3100が557万3000円から。「Windows」版、「VMware」版、「Red Hat Enterprise Linux」版を順次提供し、発売して3年後に年間1000台の販売を見込んでいる。
日本ストラタステクノロジー 代表取締役社長の松本芳武氏
この日記者会見した代表取締役社長の松本芳武氏は、新製品について、ftServerで培った高信頼・高可用性の実績のもとAIなどの将来の用途拡大に対応できると説明し、「無停止型システムの世界のゲームチェンジャーになる」と強調した。事業開発部長の香月千成子氏によると、時期は未定ながら今後のロードマップでGPUのサポートを計画しており、NVIDIAと連携しているとのこと。AIなどの用途でも99.99999%の可用性を担保させるとしている。
また同社は、2022年にSMART Global Holdings(SGH)の傘下となり、高性能コンピューティング向けのクラウドソリューションを展開するPenguin Solutionsとともに、SGHで「インテリジェントプラットフォームソリューション」(IPS)グループを構成する。SGHには、メモリー設計を手掛けるSmart Modular Technologies(SMT)とLED関連のCreeの事業体があり、ztC EnduranceにはSMTの高信頼メモリー「Zefr」を採用しているという。
SGH IPS部門社長のDave Laurello氏は、「AIや高性能コンピューティングの需要が世界で急拡大している。Meta(旧Facebook)のAI開発で多数のGPU供給実績もあるPenguinと、Stratusの高信頼性・高可用性により、エッジ、データセンター、クラウドの全てのインフラにAI対応ソリューションを提供する。ztC Enduranceはゲームチェンジャーとなる製品だ」とアピールした。
「ztC Endurance」の想定用途
日本ストラタステクノロジーでは、まず既存のftServerの置き換えとしてztC Enduranceを訴求し、今後は各産業分野のDX用途やAI利用などに対応していくという。Laurello氏によれば、当面はftServerブランドの製品とztC Enduranceブランドの製品を併売するが、市場動向を見てブランドの一本化などを検討してしくとし、今後の新製品はztC Enduranceブランドで販売すると説明した。なお、同社はエッジ用に「ztC Edge」というブランドのサーバー製品も手掛けている。